リーグが「ファン」という位置づけを誰に対して設定しているか，ですよね。
たとえばスタジアムにほぼ毎回のように足を運ぶ「サポーター」は，
クラブ自体を応援しています。
乱暴な言い方をすれば，クラブを愛するサポーターにとってみれば，
誰が出ていようがいまいが関係なく，ほうっておいてもスタジアムに足を運びます。
そんなサポーターにとってみれば，ひいきチームが目標を達成することに対して
そのサポートをする，あるいはひいきチームのいい試合を見たいから
応援するのであって，選手を見に来るのがすべての目的なわけではありませんよね。
リーグでの下位2チームは「2部へ自動降格」という厳しい現実が待っています。
カップ戦に優勝したからと言って1部残留が保証されるわけじゃないのですから，
「まずは1部残留が目標」という選手層もあまり厚くないクラブにしてみれば，
負けても何も失うもののないカップ戦を，負けたら大きなものを失うかもしれない
リーグ戦のために「若手選手に経験を積ませ」，「主力の疲労を抑える」という
目的になることに誰も文句は言えないはず。
サポーターもそういうクラブの事情は分かっているはずですし，
そういった熱心なサポーターなら「将来の主力」をそういう試合で発見して
「あの選手は期待できそうだ！」と悦に入るという楽しみを見つけるでしょう。
リーグでの意味不明な選手起用はともかく，
そういった「事情」を鑑みた監督の方針なら，そしてそれが近い将来生かされるなら，
サポーターは納得ずくでチームのサポートをするでしょう。
しかし，「その他」のファンはどうなのでしょう？
チームの顔的な選手見たさにスタジアムに足を運ぶ場合がほとんどじゃないかと思います。
そういう中心選手が出ていなかったら，
「せっかく(その選手を)見に来たのに出てない」ということになるかもしれません。
Jリーグ側が言っている「ファンに対する裏切り」の「ファン」というのは
おそらくそのことではないでしょうか。
だとしたら，それこそクラブの財産とも言える熱心なサポーターに対する
Jリーグの「裏切り」ではないでしょうか。
もちろんひいき選手見たさにそのチームの試合を見に行く，というのでも
一つの楽しみ方ですからそれが悪いことだとは思いません。
しかし，もしそのスター選手が他チームに移籍したらどうなるのでしょう？
その選手が引退してしまったらどうなるのでしょう？
といいますか，別に福岡のサポーターやファンから
「なんだあのスタメンは！ なめやがって！」というような提訴が
リーグにあったのならともかく，実際そんな話は聞いていません。
観客動員が少ないのは「水曜日夜」という足の運びにくい日時に
設定されているからでしょう。
サッカーの歴史も浅い上に仕事は働け働けの一般的な日本人にとって，
サッカー見るために仕事を抜け出すなんてなかなか難しいことなんだから，
そういう事情も考慮して日程を設定しないとお客さんは増えないでしょう。
それで「(カップ戦の意義は)ヨーロッパと日本は違う」といっても
説得力がまるでありません。
「ベストメンバー」という規約を盾にスタメン編成に茶々を入れるのなら，
「地域密着」という謳い文句はどうなるのでしょう。
Jリーグに必要なのは本当にクラブをサッカーを愛する熱心なサポーター層の拡大でしょう。
少しずつでもそういった人たちを増やすのが，
長い目で見れば本当の意味でのサッカー界の繁栄になると思います。
それを「理想論だ」というのなら，「百年構想」も絵に描いた餅となりますよね。
2シーズン制について「短期決戦のほうがファンの興味が切れないから」といっている通り，
どうもJリーグってそういう興行優先のきらいがありますよね。
まったくもって，本当の意味での「ファン」を馬鹿にしていると思います。