お待たせしました。やっと書けた「柏−札幌」の観戦記です。
Jユースカップ・グループA。札幌1勝2敗1分(4位)、柏2勝3敗(3位)で、
最終順位2位以内のグループリーグ突破に向けて、ともに生き残りをかけた一戦は、
序盤から激しい攻防を繰り広げた。ともに諸事情によりベストメンバーとは若干異なった布陣だったが、
札幌は竹下ら明日を担う1年生と、大胆にもU−15からMF鈴木を抜擢。
しかも鈴木は背番号10を背負い、前半の札幌の攻撃を指揮した。
前半19分、札幌DF阿部が柏のMF大谷をPエリア内で倒してしまいPK。
これを柏FW藤田が決めて前半は1−0柏リードで折り返す。
後半になって札幌は満を持して“King of Sapporo”FW新居を投入。
持ち前の俺様スピードで前線を活性化させるとともに、3トップ気味の総攻撃態勢を敷く。
柏もよく鍛えられたスライディングタックルの連発で札幌の反撃の糸口を潰しにかかる。
しかし後半10分、左から中へ入ってきたクロスの処理を柏DFがわずかにもたついた隙を新居が突く。
鮮やかな俺様反転でゴール前に抜け出し同点弾をゲット。
さらに17分にはFW三上から左サイドの新居に渡り、思い切り良く俺様シュート。
GKが面食らって(推定)弾いたボールをゴール前まで突っ込んできた三上が決めて逆転!
その後も札幌は新居の俺様ドリブルや、意表を突くMF中村のバックヘッドのシュートなどで
柏ゴールを脅かす。Jユース開幕前は優勝候補にも挙げられていた柏も、ぶ厚い攻撃で札幌ゴールを狙う。
体を張って阻止せんとする札幌DF。ガツガツとぶつかり合う音がピッチ上に響き、
両チーム合わせてイエローカードが7枚も飛び交う白熱の攻防は、
しかしサッカーの醍醐味・スペクタクルも十二分に持ち合わせた希に見る好試合のまま終盤へ向かう。・
柏の猛攻に耐えていた札幌だったが、ついに後半41分、コーナーキックからのゴール正面での混戦から
柏MF吾妻に同点弾を許してしまう。さすがに落胆の表情を見せる札幌イレブン。
今までの彼らだったらここで終わっていただろう。
だが、我々はこの後「真のコンサドーレ魂」を見ることになる。
若き道産子イレブンは互いに声を掛け合い、
残りわずかな試合時間を完全燃焼せんと必死の形相でボールを追いまくる。
引き分けの勝ち点1ではなく、勝利を渇望している柏も勇敢にトドメを刺しに来る。
その裏に広がったスペースに新居が飛び出したのは、
審判が示したロスタイム3分も尽きようとしている瞬間だった。
DF木崎からの一発のパスが新居の元へ渡る。前にはGKしかいない新居は冷静にこれを
ゴールに流し込むだけでよかった。
イレブンもベンチもわずか10名のサポーターも歓喜を爆発させる。
日立台中に響き渡る文字にならない叫びと「ゲットゴール新居!」の大合唱。
最後のキックオフからわずか20秒ほどで試合終了の笛。再び雄たけびを上げるイレブンとサポーター。
がっくりと芝の上に突っ伏して動こうとしない柏の選手達。
明と暗がくっきりのピッチ上。晩秋の陽光を浴びて誇らしげにサポーターに勝利の挨拶に赴く赤黒の若武者たち。
積み重ねてきた悔しい敗戦でも多くのものを得てきたであろう彼らは、
この日の激勝でその数倍もの尊い財産を得たに違いない。サポーターの1人1人と握手を交わす彼らの顔は、
まさに「戦う男」のそれだった。
ひぐまわこの試合を「コンサドーレ札幌史上最高試合」として長く語り継いでいきたいと思う。
素晴らしい試合を披露してくれた両チームの選手達に心から敬意を表したい。
…そう。コンササポはたった10人しかこの試合を見ていないのよ。
たくさんの人に見てもらいたかった気もするし、
自分たちごく少数だけの生涯の宝にしたい気もするし…。