Jヴィレッジで開催中の第1回Jリーグゼネラルマネジャー講座に出席している川淵三郎チェアマンが、2002年Jリーグから秋開幕方式に変更する方向で検討に入っていることを明らかにした。これまで、何度となくうわさに上ったJリーグ秋開幕の話。いよいよ実現に向けて動き出すようだ。
これまでの経過を見てみると、この話題が実施時期と共に具体的に、Jリーグ関係者から出たのは、98年1月にJリーグ森健児専務理事(当時)が、2002年から実施したい旨を明らかにしたとき。Jリーグが93年に開幕する以前も、新しくできるリーグの開催時期について検討されたようだが、こちらは秋開催では集客力に難があるということで見送られた。その後、サッカー先進国とのリーグ開催時期のギャップによる不都合が出て来るにつれ、秋開催論の声が大きくなってきた。コンサドーレがJリーグに昇格する前年にも、既に、Jリーグ側からはJ昇格へ向けてのヒアリングで、ドームスタジアムでの冬季開催の実現、積雪時にも使える屋根付練習場の早い時期での完成などの要望がHFCにだされている。
2002年を開催時期変更の年に選んだのは、日韓W杯を控えていることが大きな要因である。まず、日本代表をW杯に専念させる。日韓W杯は6月に行われるが、この時期の大会は、従来Jリーグを中断していた。これを秋開催にすることでなくそうというもの。また、この大会はホスト国になるためそれなりの実績が期待されている。そこで2001年11月にシーズンを終え、翌年の5月までの半年間を日本代表の強化期間に充てようという意図もある。さらに、この大会に伴い全国的な規模でスタジアムが新たに整備されるというのも、大きな一因。Jリーグにとっても、冬季の寒い時期に集客があるかというのは、大きな懸念材料になっている。「屋根付きの暖房の整ったスタジアムが多数できることで解消できると思う」と川淵チェアマンがコメントしているとおり、現行のスタジアムの状態ではきびしい。なお、昨年の発表では、現行のシステム(春開催、勝ち点制度(引き分けの導入)、J1J2の入れ替えは二チームが自動、ナビスコを並行して実施など)は、三年間(99から2001まで)変更しないことになっている。すなわち、2002年以降は、変更になる可能性があることを意味しており、開催時期の変更などが既に検討されていると考えた方が良さそうである。
さてこの変更は、コンサドーレにとって、集客うんぬん以上の問題を含んでいる。まず、冬開催時期にスタジアムが開催可能な状態に持っていけるのか、ということ。現在建設中のドームスタジアムは、積雪時の天然芝の使用は無理ということになっている。ヒーターによる融雪や、冬季の芝養生など、検討されているが、まだ正式に発表になっていない。そしてスタジアム以上に深刻なのが、練習場の問題。現在、コンサドーレは積雪時にも使用出来るような練習場を持っていない。人工芝のつどーむなどは選手のけがを考えると問題外だし、除雪した屋外のグラウンドで練習して、試合だけは本州のグラウンドみたいな立派な芝のドームでするとなると、全くホームアドバンテージがない。これらは、コンサに限らず、雪を抱える北国チーム共通の悩みである。
なお、今回の川淵チェアマンのコメントは、2002年秋開催は決定ではなく、あくまでそれに向けて検討に入っているということ。それにしても、大きく動き出したことには変わりない。HFCや、ドームを管理する札幌市(実際は、第三セクタのようになるみたいだが)の対応が注目される。