中山雅史選手が、今シーズン終了後、現役を引退しユニフォームを脱いだ。
有名で偉大な選手だけあって、FIFA(国際サッカー連盟)のサイトでも引退がニュースとして紹介された。記事中では、中山選手が引退することや、略歴、ギネス記録を持っていることなどが紹介されている。
- Japan icon Nakayama calls time on career – FIFA公式サイト
ところで、この紹介記事のタイトルは「Japan icon Nakayama calls time on career」。
最初、これを直訳では「日本のアイコンである中山選手が、そのキャリアにおける(その)時を宣言した」。「キャリアにおけるその時」はいくつかあるが、中山選手の現況からして「最後の時」=「引退」しかないから、「日本の象徴である中山選手が引退を発表した」と理解した。
しばらくして、まてよ、もっと素直に訳すべきなんじゃないか、と思い至った。そうすると、「日本のアイコンである中山選手は、そのキャリアにおいてタイムを宣言した」。ここで言うタイムは、試合中に一時ストップさせるあのタイム(サッカーの試合ではタイム制はないけれど)。すなわち、「日本の象徴である中山選手は、彼のキャリアをいったん一休みすることにした」という意味になる。
サッカー選手の人生は、選手としての人生だけで終わらない。選手時代が終われば、その後は、指導者になったり、サッカーの啓蒙活動をしたり、2番目の人生が待っている。中山選手は、選手としてのキャリアに終止符は打つけれど、サッカーマンとしてのキャリアはまだ途中。だから「タイム」=「一休み」なんだ。
実際には、上記のような意味を全てひっくるめて、韻を含んだようなタイトルになっていて、「日本の象徴である中山選手は、引退はしたけれど、それは彼の長いキャリアの中では一休みに過ぎない」といったところだろうか。そう考えると、なんてしゃれているタイトル。FIFAの記事を書いている人は、なんてセンスがあるのだろう。
いずれタイムを終えて、中山選手が再びスタジアムに立つ姿を見てみたいものだ。現役時代よろしくピッチ際で吼えている姿や、試合終了後の記者会見で軽妙なコメントをしている姿が、すでに目に浮かんでしまうのであるが。
奇しくも来年は、社長に野々村芳和氏、監督に財前恵一氏と、コンサドーレをタイムで休んでいた人たちが再びプレーを再開する。新年はハッピーな年になりますように。
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