【このページに載っているFAQ項目】
- フォーメーションって何?
- 4-4-2システムって何?
- 3-5-2システムって何?
- (歴代のシステム)1926年以前
- (歴代のシステム)1926年以降WMフォーメーション登場
- (歴代のシステム)1958年フラットフォーのはじまり4-2-4と4-3-3
- (歴代のシステム)1960年頃カテナチオシステム登場
- (歴代のシステム)そして現代4-4-2、3-5-2へ
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フォーメーションって何?
- サッカーは1チーム11人でするスポーツであることは、よくご存じだと思います。この11人は、フィールド上を自由に動いてよく、どこにいてもかまいません。ゴールキーパーが常にゴール前にいなくちゃならないなんてことはありません。この自由さが、サッカーのおもしろさの一つでもあるのですが、実際は、各個人の仕事の役割は大体決まっていて、その役割に沿った動きをします。大まかに説明すれば、攻撃を主に担当する人、守備を主に担当する人、両方を半分づつ担当する人に分かれます。それらの役割ごとに各選手を配置したものを、フォーメーションと呼びます。
- それぞれの役割に割り振る選手の数は、チームで好きに決めていいのですが、流行廃りというものがあって、時代と共にフォーメーションの形が変わってきています。このページでは、それらのフォーメーションについて説明します。
- 最近のフォーメーションは、数字の並びで表現することが多いです。4-4-2とか、3-5-2とかです。これは何を意味していますかというと、それぞれ、DF(ディフェンダー;守備を主に担当する人)、MF(ミッドフィルダー;両方を半分づつ担当する人)、FW(フォワード;攻撃を主に担当する人)の選手の数を表しています。ゴールキーパーは、一人と決まっているので、この数には含みません。4-4-2はDF4人、MF4人、FW2人ということを意味します。
- 近代サッカーでは、様々なフォーメーションが存在し、上記の二つの他にも、4-3-3、3-4-3、4-5-1などがあります。また、同じ数字の並びで呼ばれても、各選手の配置が微妙に異なっていたりと、チームの数だけフォーメーションがあるといっても過言ではありません。それなら、フォーメーションを紹介しても無意味じゃないか、ということになるのですが、一応、大まかなことだけはわかるので、チームの戦い方や戦術的特色を紹介するのに、よく使われるのです。
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4-4-2システムって何?
- 4-4-2システムというのは、文字どうり、DF:4人、MF:4人、FW:2人で構成するフォーメーションのことです。現在のサッカーでは、一番ポピュラーなシステムです。90年代のJリーグでは、ほとんどのチームがこのフォーメーションか、これの変形型を採用しました。図に示したように、DFの四人は、横一列にならんだフラットな配置を取ることが多く、一般にゾーンディフェンスの形態を取ります。MFの四人は、大きく分けると攻撃的MFと守備的MFに分かれますが、四人の配置は様々な形を取ります。左側は守備的MFを2人置くダブルボランチシステム。右側はMFの四人が菱形に位置するダイヤモンドフォーメーションです。FWは二人で、俗にツートップと言われる配置です。
- 96年の高橋監督が、コンサドーレが採用したシステムです。99年の岡田監督も、この4-4-2を採用しています。
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3-5-2システムって何?
- 3-5-2システムというのは、文字どうり、DF:3人、MF:5人、FW:2人で構成するフォーメーションのことです(右側)。4-4-2同様、現在のサッカーでポピュラーなシステムです。97年、98年のコンサドーレが採用したシステムです。図に示したように、DFの3人は、三角形の配置を取ることが多いです。前の二人はストッパー(あるいはセンターバック(CB))とも呼ばれ、敵のツートップのFWにマンツーマンでマークにつきます。後ろの一人はリベロ(自由な人の意)と呼ばれ、マンツーマンでマークする相手を持たず、守備全体のフォローにあたります。また、場合によっては、攻撃参加も行います。MFの5人は、大きく分けると攻撃的MF、守備的MF、サイドのMFに分かれ、特にサイドのMFは、ウィングバック(WB)と呼ばれ、ウィングの仕事もするがバックスの仕事もするという選手です。中盤のMF3人の配置は様々な形を取ります。FWは二人で、俗にツートップと言われる配置。
- この、3-5-2は、DFの数を五人に増やした5-3-2という守備的なフォーメーション(左側)に変更することもあります。3-5-2と、5-3-2の間に、厳密な違いはありません。試合の途中で、流動的に変化することも多々あります。
- フェルナンデス監督の元で97年、98年採用しました。98年は、3-5-2と、既に上で述べている4-4-2を併用しました。
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(歴代のシステム)1926年以前
- サッカーは19世紀に最初のサッカー協会が作られ、その後現代に至るまで、発展を続けるのですが、このころのフォーメーションは右図のようなものでした。FWが五人、中盤には今でいう、DFとMFを半々ぐらい担当するhalf backが三人。DFは実質二人です。今風にいえば2-3-5、超攻撃的な布陣です。攻撃は、フォワードの5人に中盤の3人を加えた8人で行い、守備は、バックの二人に中盤の3人を加えた5人で行うというもの。
- 近代のような華麗な中盤でのパス捌きなどを望むべくもなく、とにかく前へ前へのサッカーです。前線の数が異常に多いのに対し、DFの数が少なくても、システムが成立したのは、この頃のルールが今と違っていたことによります。何が違っていたかというと、オフサイド。このころ、既にオフサイドルールはあったのですが、オフサイドにならないために必要な要件が、ゴールと攻撃側の人間の間に、相手方選手が三人以上いなくてはいけないというもの(現在は二人です)。通常、この相手方の人間の一人は、ゴールキーパーを指しますから、実質フィールドプレイヤー二人いなくてはいけません。これはかなり、厳しい要件です。実際、前線でパスをつなぐ場合、前方にだすパスのさらに前線に二人もフィールドプレイヤーがいなくてはいけない、というのは、攻撃する側にはきつく、守備する側にはありがたいルールです。このルールを利用して、DFラインを思いっきり上げて、オフサイドを誘発して、守備を行うのがこのころの主流でした。実際、オフサイドはかなりの数、でたようです。
- この三人必要なオフサイドルールのため、攻撃するときのセオリーは、サイドを思いっきりえぐって、センタリングをマイナスに上げるというものでした。そのため、今と違いFWの両サイドに、サイド攻撃(サイドをえぐってセンタリングを上げる)を専門に担当するウィングがいます。この両サイドのウイングが中の三人のFWに向かってセンタリングを上げるというのが、主な攻撃の仕方です。
- ところが、このフォーメーションと戦術が役に立たなくなる事件が1926年に起きるのです。オフサイドのルール改正が1926年に行われたのです。
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(歴代のシステム)1926年以降WMフォーメーション登場
- 1926年に行われたオフサイドに関するルール改正というのは、それまで3人の相手選手が必要だったものを、現在のように二人でいいというものに変えたこと。このたった一人の変更が、それまでのシステムを全く役に立たないものに、してしまいました。それまで、オフサイドにより、中盤からのパスによる突破が制限されていたものが、ルール改正によりなくなり、どんどん繋がるようになったため、点が入る入る。最初のシーズンの試合では、野球のようなスコアになることも多々あったということです。
- この新ルールに対応する形で生まれたフォーメーションが、WMフォーメーション。攻撃は、今回のルール改正で、前線二列目からのスルーパスが非常に有効になったことをうけて、内側のFWを少し下げ気味の位置にして、従来のサイド攻撃と合わせて中央からも攻撃できるようになりました。一方、守備は、中盤のセンターハーフを下げて、センターバックの位置へ入れ、DFを三人にして強固に。また、前線二列目からのスルーパスに対応する意味で、両サイドのハーフバックを最終ラインの一つ前の位置に配置しました。
- 結果的に攻撃の選手がW、守備の選手がMの字の形に配置されたので、WMフォーメーションと呼ばれています。中盤が、以前のフォーメーションに比べると充実したことがわかります。このフォーメーションには、類似形があり、WW、やMMといった形に選手を配置したものがあります。このフォーメーションは、世界を席巻し、主流になりました。
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(歴代のシステム)1960年頃フラットフォーのはじまり4-2-4と4-3-3
- ブラジルのペレ選手が活躍した頃、フォーメーションも次の時代に変わるときがやってきました。ブラジルが、1958年(スウェーデン大会;左)、1962年(チリ大会;右)とW杯を二連覇したときのフォーメーションがそれです。従来、5人で攻撃、5人で守備となっていたのを、中盤の選手を二人にすることで、6人で攻撃、6人で守備というものに変えたものでした。このシステムで、ブラジルは、1958年(スウェーデン大会;左)を制しました。ただし、このシステムでは、中盤の二人に要求される仕事が多大過ぎて負担が大きいということで、4年後の大会では、中盤を三人にした4-3-3というシステムに変更になっています。その四年後、イングランド大会(1966)を制したイングランドもこのフォーメーションを採用していました。
- ブラジルのナショナルチームは、この頃から、4バックのラインディフェンス(フラットフォー)で守備をするのが伝統になっており、今もその伝統は守られています。ほんの一時期、違うシステムを採用したことはありますが。
- このシステムはその後、現代の4-4-2へと繋がっていきます。
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(歴代のシステム)1960年頃カテナチオシステム登場
- ブラジルが、新しいフォーメーションで世界を席巻している頃、イタリアでも新しいフォーメーションが生まれました。カテナチオ(閂;かんぬき)システムとして知られる超守備的システムです。これは、四人のディフェンスの後ろに、守備専門の選手(スイーパーと呼ばれます)を置き、その四人のDFで守りきれず、こぼれてきた選手やボールを処理するというものです。まず守って、カウンターにかける超守備的なフォーメーションでしたが、このシステムを採用したイタリアのクラブチーム、インターミラノは1964、1965と二年続けてヨーロッパチャンピオンカップを制し、世界クラブカップも制したのでした。
- このシステムは、この後、オランダ、西ドイツでさらに発展し、守備専門のスイーパーを攻撃にも参加させるというリベロに変わり、今世紀最高のリベロと呼ばれるベッケンバウアー(西ドイツ)選手の登場と、西ドイツのW杯制覇(1974西ドイツ大会)という成果で、一応の完成を見るのです。
- このシステムはその後、現代の3-5-2へと繋がっていきます。
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(歴代のシステム)そして現代4-4-2、3-5-2へ
- 現在では、世界の主流は、大きく、4-4-2、3-5-2にわかれます。1960年代のフォーメーションに比べると、FWの選手を減らして(二人にして)、中盤の選手を多くしています。これら以外にも、4-3-3、3-4-3、4-5-1などがありますが、先の二つに比べると採用しているクラブは少ないです。
- 1990年に、イタリア大会を制した西ドイツが採用していたのが3-5-2、1994年にアメリカ大会を制したブラジルが採用していたのが4-4-2というのは、ここまで読んでおわかりのように、決して偶然ではなく、それまで、伝統的に、その国で発展してきているシステムなのです。
- しかしながら、この数字によるフォーメーションの呼び方は、あくまで選手の大まかな配置を意味しているのであって、選手の動きを意味しているのではありません。選手の動きは、チームによって異なっていますし、戦術面での考え方には違いがあります。あくまでフォーメーションはフォーメーション。先にフォーメーションがあるわけでなく、完全無欠のフォーメーションがあるわけでもありません。まず選手ありき、その次に、そのチームに適したフォーメーションがあるということです。先に紹介した、西ドイツやブラジルにしても、フォーメーションがいいから優勝したのではなくて、そのフォーメーションを最高の状態で体現できる選手が揃ったからこそ、優勝したわけです。
- ですから、フォーメーションを過信してはいけません。でも、現在までの成り立ちを知ってみると、なんとなくおもしろい感じがして、ちょっとは興味がわいたでしょう?こんなことを知った上で、サッカーを見るのもまた楽しいもんです。