2年半にわたってメキシコ代表チームの誘致活動を行ってきた栗山町がこの日、記者会見を行いW杯キャンプ地誘致活動から撤退することを発表した。
W杯本大会の各国グループ分け抽選会が終わり、試合日程、試合地が決まったことを受けて、各国サッカー協会は、公認キャンプ地からキャンプ地の選定作業に入っている。KOWOC(2002年FIFAワールドカップ韓国組織委員会)が統一窓口になってキャンプ地を決めている韓国と異なり、各キャンプ地間の自由競争となっている日本では、ここに来て誘致交渉が各地で激化。数千万円単位の誘致金が動く事態になっている。こうした事態を受けて、春先に栗山町に届いたメキシコサッカー協会会長名のキャンプ地内定の信書も有名無実に。結局、1/19に福井県三国町がメキシコサッカー協会との覚え書きに調印。これを受けて、W杯キャンプ地は栗山町ではなく三国町に決まった。この日の会見はこれを受けてのもの。新たに他の代表チームの誘致は行わず、活動は終了することになった。
早くから町をあげての栗山の取り組みは、残念な形で終わることになった。今回の土壇場でのキャンプ地変更には、いろいろな要素が複雑に絡み合っているが、高度に政治的な国際サッカービジネスの影響をもろに受けた格好。まず、日本でのキャンプ地誘致が自由競争になったことで各国サッカー協会の売り手市場になったこと。誘致契約に代理人が介在する事になり、これがさらに競争を激化。契約が完全にビジネスレベルでの競争になったことで、契約金を初めとする金銭面での競争となり、日本側にふっかけるサッカー協会が続出。W杯出場各国には、FIFAから億単位の出場給が支払われることはすでに決まっており、各国選手団の移動費、滞在費などはそこから十分まかなえるはずだが、これらの費用もキャンプ地側での負担を要求するチームもでてきたりした。これらの要求がでること自体は国際ビジネスでは、別におかしくもない駆け引きではあるが、これに不慣れな自治体の中には、あっさりとのむところがでてきて、競争激化に拍車をかけるという案配。さらにメキシコの場合、サッカー協会内での政治的紛争も暗に影響を与えている。春先に栗山に内定の信書を送ったサッカー協会長がサッカー協会内の政乱で失脚。協会のトップの顔ぶれが変わったことで、協会としての意向が全く変わってしまっていたというのも大きい。
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