就任に関するクラブからの正式発表はまだだが、来季コンサドーレ札幌のGKコーチ就任を要請されていたディド・ハーフナー選手(41)が、就任要請を受けることが明らかになった。この日、ディド選手がクラブ事務局を訪れ、受諾の意思を伝えた。「岡田新監督からも一緒にやりたいと、電話で誘われた。私も家族も札幌は好きだし、二年間サポーターに応援してもらったので、恩返しをしたい。」とコメントした。
ディド選手は、昨年ジュビロ磐田から移籍。守護神として札幌のゴールを二年間守り続けた。今季Jリーグでは、ラモス瑠偉選手(川崎)に次ぐ高齢選手ながらも、厳しい節制と生活態度でトップレベルのコンディションを調え、ゴールマウスを明け渡すことなく、リーグ戦全34試合に出場した。反面、Jリーグの厳しい戦いは、ディド選手の体に相当の負担を求め、シーズン終盤には、毎試合痛み止めをうっての出場であったと聞く。
ディド選手は、そのプレーぶりと、ファンを大切にする姿勢から、熱狂的なファンを多く持つ。昨年JFL第7節厚別で行われた川崎F戦、後半ロスタイム、最後のプレーになるかと思われた味方コーナーキックで、川崎Fゴール前まで上がり、バルデス選手の起死回生の同点ゴールを導き出したファイティングスピリットあふれるプレーは印象深い。この時の大逆転勝利で、サッカーの魅力に取りつかれた人が何人いたことだろうか。まさに、ワンプレーで人を虜にするプロスポーツの醍醐味をみたような気がする。今年は、レベルの高いJリーグに昇格したこともあり、厚別では何度もディド・コールが響いた。
ディド選手は、ハンス・オフト氏が日本代表監督だった93年に日本代表GKコーチを務めた経歴を持つ。コンサドーレ札幌は、今季、Jリーグ18チームの中で、唯一GKコーチをおいていなかった。これは、ディド選手自身が経験豊富でほとんど完成されたGKだったので、必要なかったという見方もできる。ディド選手の引退を惜しむ声は多いが、GKが若返る来年は、ディド選手のGKとして、そしてプロサッカー選手としての経験と技術を是非とも伝えて欲しいと思う。