[第9節]in厚別:横浜マリノス戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

前日までに、18000枚のチケットがはけ、SS指定席とA自由席は売り切れが出た横浜マリノス戦。厚別競技場の最高観客数の記録更新が予想された。さて、スタジアムについたのはキックオフの一時間半前。既にホーム側ゴール裏B自由席や、A自由席は、半分以上埋まっていた。いつもより、客の出足がいい。
今日の横浜Mは、Jリーグ1stステージで三ツ沢にてこてんぱんにやられた相手。しかも、現在2ndステージ首位。相手にとって不足なし。

札幌の先発は以下の通り。4-4-2のフォーメーションは前節と一緒。DFは、村田、梶野、大野、田渕の四人。中盤は、バウテル、後藤、マラドーナ、深川の四人。バウテルが久しぶりに先発に復帰。オフェンス陣は、吉原、バルデスのツートップ。控えは、加藤、木山、太田、黄川田、有馬の五人。黄川田が久しぶりにサブへ上がってきた。注目は、今週五輪代表候補に選ばれた吉原と大野、そして、JOMOカップメンバーに選ばれたバルデスの三人。今日はどんな活躍を見せてくれるのか。

  • FW:バルデス、吉原
  • MF:深川、バウテル、マラドーナ、後藤
  • DF:村田、梶野、大野、田渕
  • GK:ディド

対するマリノスは、コンサと同じく4-4-2。後ろから、GK:川口、DF:神田、井原、小村、鈴木、MF:遠藤、野田、中村、バルディビエソ、FW:城、安永。こちらは名門だけあって、代表候補6人が先発メンバー。ちなみに、同じく候補の上野は、出場停止で来札せず。
試合は、5分ほど遅れてキックオフ。ところで、ここんとこ、厚別の試合は、5分ほど遅れてキックオフされているのに気がつきました?。これ、俗に言うテレビ中継キックオフ。テレビ中継が生で行われる場合、番組中でキックオフが見られるように、少し遅れ目にキックオフされるんです。2ndステージのコンサドーレの厚別の試合は、デーゲームで、全て生中継だから、少し遅れてキックオフ。。録画では、そんは必要なないんですけどね。
裏話はさておいて、試合の話に戻ろう。今日の見どころは、五輪代表候補に選ばれた吉原と大野が、マリノスの代表組相手にどれだけ通用するか。試合の方は、強豪相手には、押し込まれる展開が続いているので、今日もそんな感じの試合になると思いきや、意外や意外。結構五分の展開。最初のチャンスは、コンサに来る。前半10分ごろ、マラドーナがマリノスDFラインの裏側へ、絶妙のループパス。DFの体を巻き込むように前線にでたパスに、バルデスが走り込む。バルデス、マリノスGK川口と、1対1。絶好のチャンスに、わき上がるスタジアム。ところが、バルデスの足下に飛び込んだ川口が、バルデスのシュートを防いでしまう。うわ~~~、バ~ル~デ~ス~~、と、スタンドの何人のサポーターが叫んだことか。そういや、川口、足下に飛び込むようなプレーは得意なんだよな。やっぱり代表は一味違うのか。
絶好のチャンスを逃して、ながれが変わるかと思ったが、再びチャンスがコンサに訪れる。前半15分ごろ。DFラインの裏へ放り込まれボールに、バルデスとマリノスDFが反応。うまくDFをかわしたバルデスは、再びGK川口と1対1。再び歓声わき上がるスタジアム。ところが、ところがだ、さっきとまったく同じようにバルデスの足下に飛び込んだ川口が、バルデスのシュートを防いでしまう。うわ~~~、バ~ル~デ~ス~~、またか~~と、スタンドの何人のサポーターが叫んだことか。こりゃ、今日はチャンスを潰しすぎだ。こんなことやっている日は、相手に流れがいってしまう。
ところが、まだ、チャンスはコンサに訪れる。今日の勝負の神様は景気がいい。前半20分。右サイドを崩したコンサ。マラドーナがセンタリングを上げる。ゴール前にフリーで飛び込む後藤。ところが放ったシュートは、バーの上。ふかしてしまう。うわ~~~、と頭を抱えるサポーター達。
度重なるチャンスを逃したコンサドーレ。こうゆうときは、得てして相手にチャンスや流れが言ってしまうもの。案の定、前半33分にやられる。コンサ陣左サイドからのコーナーキック。蹴るのは、マリノス中村(俊)。左足で、弧を描いたボールに合わせたのは、小村。強烈なヘティングシュートがコンサゴールへ。ディドこれに何とか、反応して、はじき返す。ところが、跳ね返ったボールが小村の前へ。小村これを押し込みゴール。ここまで、ピンチらしいピンチがなかっただけに、まさにワンチャンスを決められたような1点。2ndステージに入ってからは、初めて決められたコーナーキックからのゴール。ここまで、何十本というコーナーキックを防いできているだけに、流れとしか言い様がない。
前半はこのまま終了。今日の試合、首位のチーム相手に結構健闘している。シュート数も、5本、6本でほぼ一緒。いつものように、雨あられとシュートを食らっているわけでない。マリノス手を抜いているのか?。
後半開始。試合展開は、攻めたり守ったりで相変わらず。試合が動いたのは、後半20分。ここまで調子が上がらないバルデスにかわってFW有馬投入。状況打開を図る。ところが、つきの流れはやっぱりマリノス。2~3分後、マリノス陣内サイドで、オーバーラップした村田とマリノス小村が接触。村田、大腿部を痛めて、タンカでピッチの外へ。左サイドが手薄になったコンサ、そこを突くマリノス。村田のいないコンサ左サイドのスペースへ、ボランチの野田がするするっとあがり、パスがでる。ケアに走るセンターバックの梶野。これで、ゴール前にいた安永と城のマークがずれてしまう。野田から上がったセンタリングを、城、フリーでヘッド。ディド反応できず。ゴール右隅に決まってしまう。なんて、アンラッキー。村田がいない間に、そこを突かれてゴール。客観的に見れば、敵の穴をついてきたマリノスがうまいんだけど。
この失点で0-2、ベンチさらに動く。村田に代わって、黄川田投入。さらに、後藤に変わって、太田を投入。二人を同時に交代。交代の枠は全て使ってしまった。ディフェンスラインを大野、梶野二人のツーバックで構成し、その前に、太田とバウテルをダブルボランチを配し、黄川田、田渕の両サイドバックをさらにその前の上がりめの位置まで上げる攻撃的なフォーメーション。マリノスのツートップと、攻撃的MFの二人をコンサドーレのセンターバックとボランチの四人で守り、残りの選手は全て攻撃に回す。左サイドMFに入っていた深川も上がりめになり、深川、吉原、有馬でスリートップのような形。
これで、ボールの動きが一気に激しくなる。マリノスゴールに殺到するも、マリノスボールになると、今度は一気にコンサゴール前まで運ばれ、ピンチに。でも、押していたのはコンサドーレのような感じではあった。途中、ピッチ中央で、マラドーナと小村が激しく正面衝突(おそらく頭が当たったと思う)。『ごつん』、というにぶい音がスタンドまで聞こえてきて、両者ピッチに倒れてしまう。小村は立ちあがったが、マラドーナは、立ち上がれず。そのままタンカで、ピッチの外へ。おいおい、もう三人交代しているから、補充は出来ないんだぞ、と心配したが、マラドーナ、なんとか復帰。それでも、何かよろよろしている。
マリノス、コンサドーレの捨て身の攻撃に、FW安永に代わってMFの三浦(文)、FW城に変わってDFゴイコエチアを、それぞれ35分、40分に投入。三浦のワントップのような形で、完全に逃げ切りにはいる。コンサ、最後は、二人のDF(この時は、DFは、バウテルと梶野になっていた。おそらくバウテル、もう動けなくなっていたんじゃないかな。それで、大野がマリノスゴール前に攻撃参加していた)以外は、全員上がって攻撃するも、マリノスゴールを割ることはできず。ロスタイム、4分あったが、このまま試合終了。4勝5敗、ついに、2ndステージ、黒星が先行してしまった。

今日の試合、客観的に見ると、首位のチーム相手に善戦した良い試合だったと言えるのだろうが、コンサびいきに見ると、あともう少しで、金星だったのに、と思わずにはいられない。それにしても、憎たらしいのはマリノスの落ち着きぶり。今日の試合シュート数は、両チームでそんなに差はない。コンサドーレが完全に押し込まれているわけでなく、結構良い攻撃を見せていた。ところが、これで、マリノスが焦るかと思うえば、そんなことはなく、落ち着いた試合運びだけが目に付いた。前半、コンサドーレのピンチらしいピンチといえば、ゴールを決められたあのCKだけ。ワンチャンスをしっかり決めてきたマリノスに対し、三回も会ったチャンスを一度も決められなかったコンサ。後半にしても、全体によく守っていた。ところが、村田がピッチの外で、治療を受けていたほんの、1分ほどの間に、空いているそのスペースに攻め込み、きっちり決めてしまった。ゲーム運びのうまさと良い、チームとしての成熟度を感じさせるプレーだった。
選手一人一人の力を見ても、それを感じずにはいられない。コンサドーレの攻撃陣、バルデスと吉原は、井原小村の代表コンビに抑え込まれていた。たしかに、バルデスは、DFの裏をつくうまい動きで、前半二度ほど、チャンスを作ったし、吉原も前半の見事なボレーシュートといい、後半のオーバーヘッドなど、見せ場は作った。でも、バルデスが活躍したのはその二回だけだし、吉原は、小村にうまい具合に動きを封じられていた。DFの裏へ出ようとする吉原に対し、うまい具合に体をよせ、時に体をつかみ、吉原の動きを防いでいたのは、小村の経験以外の何者でもない。一対一で、代表クラスの選手と勝負できるようになるかが、吉原の今後の課題だろう。
一方、もう一人の五輪代表候補の大野、今日はマリノスFWの城、安永の片方にスッポンマークをするといったことはなかった。というのは、両FW、思いのほか、動く範囲が広く、両サイドに大きく開いていたり(だから、城のマークを田渕がしたりしていることも多かった)、二人でポジションチェンジを繰り返したり、とにかく激しく動く。そのため、今日のコンサドーレのDFは、従来のゾーンディフェンスに近い守り方をしていたが、城のうまさに翻弄されるシーンもちらほら。その点では、マリノスFWの失点を、後半一瞬10人でプレーしているときにだけ、抑え込んだのは評価できる。とにかく、マリノスFWがいらいらしていなかったのが、今日の試合を物語っている。

コンサドーレは善戦し、良い試合を見せた。でも、マリノスの横綱相撲(ドンと来なさい、てな感じで、受け止めて、投げ飛ばしてしまう)を見せられた試合だった(くやしい~~)。

(以上記事:二上英樹)


観客動員数記録更新:この日、厚別競技場に訪れた観客の総数は、19251人。最高記録を更新しました。SS指定席、A自由席は、前日までに売り切れ。厚別競技場の定員は、2万人強なので、一杯。もちろん、ホームゴール裏は一杯。  
ドーレくん:この日のドーレくん、胸にコンサドーレのビクトリーピンバッジが、燦然と輝いていました。
ニュードールズ :清水戦から、新しくなったコンサドールズのユニフォーム。以前の、エナメルやサテンのような生地が主体だったユニフォームに比べ、ベロアのような生地を使った、黒が主体のシックな新ユニフォーム。
ビッグフラッグ:久しぶりに、スタジアムに翻ったビッグフラッグ。清水戦、柏戦と天候の関係で、ビッグフラッグがお休みでしたが、この日、天候もよく、バックスタンドに翻りました。
コンサFW陣:この日、先発した吉原宏太(左端)、バルデス(左から二人目)の二人。マリノスの選手は、小村徳男(右から二人目)、井原正巳(右端)の代表コンビ。
マリノスFW陣:一方、マリノスFW陣も代表(候補)コンビ。城彰二(9番)、安永聡太朗(29番)。マークするのは、田渕龍二(2番)、五輪代表候補の大野貴史(20番)。田渕半そでなんですねえ、
中盤の争い:中盤で、激しくボールを奪いあう両チームの選手達。ボールを奪いあうのは、後藤義一と中村俊輔(横M)。フォローにはいるのは、吉原宏太。主審は、モハメッド・ナザリーさん。
コンサゴール前 :コンサゴール前で、空中戦を展開する選手達。左手で、ボールを激しくせるのは、太田貴光(左)、井原正巳(横M)、田渕龍二(左から三人目)。キーパーはディド。8番はバウテル。
マリノスゴール前:マリノスゴール前に攻撃を仕掛けるコンサドーレの選手達。左からGK川口能活(横M)、鈴木健仁(横M)、小村徳男(横M;影になって見えない)、深川友貴、バウテル、遠藤彰弘(横M;ジャンプしてヘッドでクリア)、有馬賢二、吉原宏太、井原正巳(横M)。
記事の共有: