コンサ戦術解析12(データで振り返る1stステージ)(1998年版)

ここでは、コンサドーレの前半戦をデータから振り返ってみたいと思います。コンサドーレの戦い方を一言で言うと、『前半は強いが後半は弱い』。これはデーターに顕著に現れていて、時間帯別の得失点をまとめてみると良くわかります。


下のテーブルを見ていただければ、一目瞭然ですが、前半後半まんべんなく得点しているのに対し、失点は後半に集中しています。また、前半終了間際にも失点が多いのが特徴。前半は五分に戦っているものの、後半相手チームが攻勢に出ると、耐えきれずにずるずると失点。結局、前半リードしたりしても、そのリードを保てない。
ちなみに得点28点は、Jリーグ18チームのうち、12番目。一方、失点44は、14番目。これを見ると、成績も12~14位あたりにいてもいいような気がするが、実際は16位。どうもコンサドーレは勝負強さがないようである。実際、延長戦に入った6試合の成績は1勝5敗。PK戦は、コンサドーレが二年前、札幌に移転してきて以来、勝ったことがない。

前半 後半 延長 合計
0~15 15~30 30~45 0~15 15~30 30~45 0~15 15~30
得点 5 6 2 5 5 4 1 0 28
失点 4 2 9 8 11 8 2 0 44

下に、その他のデータもあげて見る。このデータを見ておもしろいのは、後半攻勢にでるのは、相手チームだけでなく、コンサもという点である。例えば、コンサドーレのシュート数、CK数、FK数、相手のGK数は、後半の方が多い。一方、相手チームも、シュート数、CK数は後半の方が多いので、後半の方が攻勢に出ていることがわかる。コンサドーレのGK数は、後半の方が少ない。でも相手チームのシュート数とかは後半の方が多いわけだから、相手チームのシュートの精度はコンサより高い?ということを意味するのだろうか。どっちにしろ、コンサも相手チームも、後半の方が攻撃のウェイトが高い。
おもしろいのは、相手チームのFK数が後半の方が少ない点で、これをどう解釈するかは難しい。コンサドーレがファールをしないクリーンなチームを目指しているのか?、いやむしろ、後半は、コンサドーレの選手の足が止まるのと、ボールを支配されて、ボールを持つ相手選手に寄せきれていないんじゃないかと思われる。ただ、このFK数が少ないというのは、たまたまかもしれないけれど。

コンサドーレ札幌 相手チーム
前半 後半 合計 前半 後半 合計
得点 13 14 28 15 27 44
シュート数 70 96 175 93 129 250
GK数 115 107 245 59 74 143
CK数 33 40 77 48 50 108
FK数 180 202 401 243 164 446

コンサドーレの得点は、バルデス、吉原宏太の二人のFWがそれぞれ、13点、6点をあげており、コンサドーレの全得点28点のうち、2/3を占める。これに、MFでゲームメイクを担当しているマラドーナの4点を加えると、80%をこの三人が占めている。現在のコンサドーレのフォーメーションでは、バルデス、吉原宏太のツートップの底にマラドーナがいる三角形を形成する三人が攻撃のほとんどを担っている。また、バウテルも出場時間が少ないながら、2点と頑張っている。
コンサドーレの攻撃神の中でも、既にJでの経験のあるバルデス、マラドーナは、予想通りの活躍をしている。頑張っているのは、吉原宏太だろう。今年はここまで既に6得点。Jリーグに上がりながら、昨年までのJFLと同様のペースで点をあげている。ちまたでは、五輪代表の声も上がっているが、その力をアピールするには、もう少し点を取る必要があるだろう。2ndステージ10点をあげることができれば、その可能性は大きく前進する。それでも、今年の吉原は順調に(大きく)成長した。今年は、1stステージ17試合に途中交代などもあったが全試合出場をはたしている。コンサドーレの中で、全試合出場を果たしているのは、吉原とディドだけである(ディドは全試合時間出場)。怪我などと無縁なのも、良い選手の条件である。
2ndステージへの課題は、これ以外の中盤の選手の得点と(MF)、サイド攻撃を仕掛ける選手の得点であろう。上記三選手以外からの得点パターンが増えると、上記三人へのマークも緩くなるだろうから、さらに活躍してくれることが期待できる。

選手 得点 シュート数
バルデス 13 45
吉原宏太 32
マラドーナ 25
バウテル 12
太田貴光
渡辺卓
梶野智

最後に、戦術には関係ないが、観客動員数について考察してみよう。 コンサドーレの1stステージのホームゲームは8試合。のべ86529人。平均10816人の観客動員があった。この平均観客動員数は、Jリーグ全体で10位。全体に成績と観客動員数は相関しているので、11位の福岡同様健闘している。ただし、シーズン前のHFCの計画では、平均動員数は12000人と読んで、経営計画を立てている。今後、どれだけ伸ばせるかが注目される。
1stステージでは、厚別での試合は2試合しかなかった。その中でも、C大阪戦は17689人を動員し厚別の観客記録を更新した。2ndステージでは、ホームゲーム9試合が全て厚別で開催されることになっている。動員数の面では期待できるが、ホームゲームで早く勝利を見せてくれないと、ステージ中盤では、動員数が中休みする可能性もある。シーズン終盤は、入れ換え戦への生き残りもあり、盛り上がることが予想される。
コンサドーレの特徴は、ホームで強いことである。1stステージの試合では、残念ながら厚別で2連敗してしまったが、それぞれ、17689人(C大阪)、11103人(福岡)動員した。札幌開幕戦となったC大阪戦はさるものながら、下位チーム同志の対戦となった福岡戦でも、1万人以上の観客を動員したのはやはりすごい。コンサドーレがホームゲームで強いと言われているのは、もちろんこれらスタジアムに足を運んでくれるサポーターのおかげであることはいうまでもない。

順位 チーム名 平均観客動員数
1 浦和レッズ 23802
2 横浜マリノス 20586
3 鹿島アントラーズ 15211
4 横浜フリューゲルス 14842
5 名古屋グランパスエイト 14796
6 ヴェルディ川崎 14687
7 ジュビロ磐田 13382
8 清水エスパルス 12046
9 ベルマーレ平塚 11299
10 コンサドーレ札幌 10816
11 アヴィスパ福岡 10179
12 セレッソ大阪 10006
13 柏レイソル 9776
14 ガンバ大阪 9458
15 サンフレッチェ広島 9275
16 ヴィッセル神戸 8825
17 京都パープルサンガ 7247
18 ジェフユナイテッド市原 5583

以上で、お話は終り。ちょっと時間がなかったので、おっつけ仕事のような感じになってしまいました。話が支離滅裂になってたりする所もありますが、そこんとこはご勘弁を。そんなわけで、フォーメーション図とかも、あまり用意できませんでした。全体に文字ばっかりで読みにくかったと思います。また、あまり、多くを書き込めませんでした。選手別、あるいはポジション別のフォーメーションの話なんかもしたかったんですが。
2ndステージのコンサドーレの戦いは、Jリーグ1部残留決定戦を控えて、熾烈を究めることが予想されます。怪我人も多く抱え、26人しかいないコンサドーレは、満身創痍、まさに総力戦です。コンサドーレのためにできることは厚別をコンササポーターで満杯にする(アウェイのスタジアムもコンササポーターで一杯にしたいですが)。結局は、これだけしかありません。最後になりましたが、スポーツは何が起こるかわかりません。試合終了の笛が鳴る、その時まで、頑張って応援しましょう。

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