[第26節]in厚別:デンソー戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

ここんとこのコンサ、外(アウェイ)に行っては泣かされて帰ってくる子供みたいな状況が続いています。前節山形での試合は、4-1と惨敗。石塚のコンサ初ゴールが見られたものの、攻めてはカウンターを食らい、ずるずると失点を重ねると言ったパターンで自滅。Xデーを間近にしてのプレッシャーによる足踏みなのかは知らないけれど、それでも二位以下に差があるのと、ホームに帰ってくれば負けないという自信があるせいか、サポーターの心にはまだ余裕がある。よって、負けた試合は忘れて(悔しさだけは忘れてほしくないが)、今日はスカッと勝ってマジックを減らしてほしいところ。
さてこの日の試合、今季日曜日開催のホームゲームの最後とあって、ナイターであったが子供たちの姿が多かった。ホントはデーゲームにしたかったのだろうが、昼間は冬の高校選手権北海道地区の決勝戦がここ厚別で行われたので、コンサドーレの試合が夜にまわった様である。この時期、札幌の夜はかなり寒い。札幌はそろそろ初雪が記録される頃でもある。残り二試合のホームゲームも、ナビスコカップの影響で、日曜デーゲームから水曜ナイターに変更になってしまったが、完全防備で観戦に望まないと大変寒い思いをすることになりそうだ。

札幌の先発は以下の通り。前節の山形戦で負傷退場した太田に代わり朝倉がボランチの位置に入ります。フォーメーションの方は3-5-2で、従来どうり。戦術面での変更は無いようです。

  • FW:新村、バルデス
  • MF:村田、マラドーナ、朝倉、後藤、田渕
  • DF:古川、ペレイラ、渡辺
  • GK:ディド

控えには、吉原、鳥居塚、浅沼、石塚、森の五人。久しぶりに吉原が控えに復活。出番はあるのか、注目されるところ。
試合の方は、7時に定刻どうり開始。もうこの時期札幌は、はっきり言ってすごく寒い。それでも、観客は10518人入った。これだけの観客の後押しを受けて、試合はいきなりコンサペース。デンソー陣で得たFKを、マラドーナが蹴る。ボールは選手の間を抜けて、ゴール正面にいる新村の足もとへ。新村、デンソーGKと一対一。ボールに倒れ込むGKを、上にかわす浮き玉を蹴るが、これがゴールバーに当たって入らず。決定的な場面だっただけに、スタジアムは盛りあがるも、すぐにため息に変わってしまいました。後から思えば、この決定的シーンを外したのが、今日の新村を象徴していたような。
試合の方は、その後も、コンサペースで続くが、ゴールには結びつかず。釧路での鳥栖戦同様、新村や村田、田渕の足と動きはよく、攻撃面での活躍が見られるものの、残念ながら目立ったのは新村がシュートを外すシーン。ポジショニングは、さすが新村と思わせるような位置にいて、再三惜しいところまで行くのだが、最後のシュートが。決まらない。新村のこのようなシーンはこの試合に限らず、ここんとこ目立つ。FWなのに、まだ得点のない新村に焦りがあるのかも知れないが、結果のでないここ数試合、見ている私達以上に本人は歯がゆく悔しい思いをしていることだろう。それでも、さすがに外しすぎたか、『新村~、交代~』のやじが飛ぶのも致し方ないとこか。
サッカーというのは、おもしろいもので、最初にスカッと得点が入ると、ゴールが近くに感じるようになり、打てども打てども決まらねば、遠くに感じるものです。ある位置でシュートを打って決まらないと、もう少し大事にと無意識のうちに選手は考え、よりゴールに近い位置まで持っていこうとします。つきの流れが悪く、これでも決まらないと、さらにゴールの近くへ近くへと持っていこうとしてしまいます。そのため、必要以上にゴール前近くまでは行ってDFにつぶされてしまうとか、攻めるけどフィニッシュに繋がらないとか、のシーンが多く見られるようになります。見ている側にはプレーが、大事にいきすぎ、持ちすぎ、とかに映るのがこんな時です。まさに攻撃陣のリズムが悪い方へいった時の典型的パターンですが、この日のコンサドーレがまさにその通り。
このような攻めども攻めども点に繋がらない状況を打ち破ったのが、村田。それまで、再三左サイドを突破していた村田が、マラドーナとのコンビネーションで、きれいにDFをかわし、ペナルティエリアの中まで、ボールを持ち込む。これを、デンソーDF二人が挟むようにして倒してしまう。これで、PK獲得。蹴るのはバルデス。バルデスは今シーズンここまで、33得点をあげている。バルデスのシーズン最多得点は33点。これを決めれば自己新記録。鳥栖戦では外している(GKに防がれた)PKだが、この日は、しっかりゴール右に決めて札幌1点先制。バルデスも自己新記録達成。ちなみに、JFLシーズン最多得点の記録は、呂比須の36得点。この記録の更新が見えてきました。
先制点決めて、落ち着くかと思われたコンサ攻撃陣だが、拙攻を繰り返すばかりで、追加点を奪えず、前半終了。

後半開始しばらくして、選手交代。センターライン付近のピッチサイドで、予備審判が持つ交代選手の背番号を示すボードには11番の文字。新村が交代?、ということは、久しぶりに吉原が出場か?と思われたが、ピッチにたったのは石塚。石塚が中盤に入り、マラドーナを新村のポジションにあげて、バルデスとのツートップを組ませるようなフォーメーション。新村のOUTは、あまりにも外しすぎていたから致し方ないところ。
さて、チェンジしたフォーメーション。でも、ここんとこのマラドーナ、足の具合が悪いせいか、後半になると運動量ががくっと落ちるんですよね。この日も、前線に上がったはいいが、腰に手をやるシーンが目立った。そのせいかしらないが、前半に比べ、デンソーに攻め込まれるシーンが見られる。攻めども攻めども点が入らないときは、こういう流れになるもの。最悪の場合、点を決められてしまうもんだが、この日のコンサ守備陣、しっかり守ってデンソーに点を与えなかった。おそらく、前節山形戦で、大量点を喫した反省があるので、この日は絶対完封するぞ、という決意で望んだに違いない。
この後、バルデスのすごいヘッドが見られたが、残念ながらGKに阻まれ、得点にならず。試合は1-0のまま終了した。

この日の試合、デンソーとの力の差を考えると、消化不良になったサポーターの人も多かったが、この時期、勝ち点3を取ったとことの方を評価したい。早く、J昇格を決めて楽になりたいのが、現場のホンネでしょうから。これで、J昇格までのマジックは2勝(勝ち点で5)となりました。また2位につけていた川崎Fが負けて、4位に落ちたことから、優勝のマジックも同じ2勝(勝ち点で5)となりました。最短次節徳島戦で、条件によってはJ昇格などが決まります。自力では、28節の厚別での大分戦で決まる可能性が高いです。個人的には、ホームの厚別で勝って決めて、多くのサポーターと歓びを分かち合いたいところです。次節にしろ、厚別で決めるにしろ、まず次節徳島戦にしっかり勝たなければなりません。ここんとこ、アウェイの試合の調子が悪いだけに頑張ってほしいものです。

(以上記事:二上英樹)


攻めるコンサドーレ:今日のコンサドーレは、試合開始から、デンソーゴールに殺到。コーナーキックからのボールにペレイラ選手が頭でゴールをねらいます。コンサドーレは、コーナーキックのとき、制空権を得るために、せーたかノッポのDFも、相手ゴール前まで上がってきます。ジャンプしているのがペレイラ選手。その後ろの選手が、コンサDFの渡辺選手。左手には、相手DFの影で見えにくいですが、バルデス選手がいます。
そしてPK獲得:再三のアタックが功を奏したのが、前半28分。マラドーナ選手との絶妙のパスコンビネーションで、ペナルティエリアに村田選手が切り込みます。これを、デンソーDFが倒してしまい、PK獲得。
PKを蹴るのは、バルデス選手。これを、きっちり決めて、コンサ先制点。また、バルデス選手自身シーズン得点記録:33を越え新記録となる34点目。
守るコンサドーレ:鳥栖戦で、5試合ぶりの復帰を飾ったディド選手。前節山形戦では、イエローカードに4失点と、いやな出来事ばかりであったが、この日は、鳥栖戦に続いて完封勝ち。
デンソーのフリーキックも、きっちり守ります。
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