『二上英樹の観戦記』
前節の都田では、いやな感じで負けを食らってしまいましたが、長いシーズンこんなこともあるもの。これがアウェイの試合というもんだ。大切なのは、この負けをひきずらないこと、連敗だけは必ず避けなくてはいけない。今日はホームゲーム、初めて釧路で行われるコンサドーレの試合。いつもの厚別ではないけれど、北海道ホームアイランドでは、圧倒的な強さを発揮するコンサ、きっと勝ってくれるに違いない。釧路まで行くお金がない私はテレビ観戦となりました。
釧路のコンササポーターには今季初ゲームで、楽しみにしていたに違いない試合にもかかわらず、ブラウン管に写った釧路市民陸上競技場は大雨。それでも、観客数は8031人。ここの競技場には、1万1千人程しか入らないのと、雨というのを考慮してもかなり入った方。
さて、札幌の先発は以下の通り。注目は、仙台戦での頬骨骨折で欠場していたディドが5試合ぶりに復帰。周囲の人間が皆驚く、驚異的なペースで復活。今日の動きが注目されます。また、新村が久しぶりの先発。ペレイラは、累積警告による出場停止明けで、1試合ぶりの出場。フォーメーションの方は3-5-2で、従来どうり。戦術面での変更は無いようです。
FW:新村、バルデス
MF:村田、マラドーナ、太田、後藤、田渕
DF:古川、ペレイラ、渡辺
GK:ディド
前節の敗戦とこの天候でどうなるかと注目された立ち上がり、芝のピッチはかなり滑るのか、こける選手や滑る選手が目立ちます。それでも、最初からホームのコンサペース。左からの最初のコーナーキックを蹴るのはマラドーナ。村田へのショートコーナーで、村田が中央のペレイラに、そこから再び左サイドにするするっと入ってきていたマラドーナへパス。マラドーナ、そこからDF一人をかわし、キーパーの頭越しに技ありのミドルのループシュート。前節、本田技研の村主に決められた右からのループシュートを、逆サイドで再現したようなシュート。これぞマラドーナという芸術的なシュートが決まり、1点先制。
これで、試合は札幌ペース。田渕、村田の両ウイングバックの効果的なオーバーラップと、新村のDFラインの裏へ抜け出る動きが、鳥栖DF陣を圧倒。前半、幾度となくチャンスを作るものの、ゴールネットは揺らせず。マラドーナのゴール正面からのFKも、鳥栖のGKの攻守に阻まれ、得点ならず。このまま、前半終了。
さて、ハーフタイム。ここからは、テレビならではの話題を。札幌、鳥栖のチーム紹介をテレビリポーターがしていましたが、そのなかで、鳥栖の紹介をしているリポーターが、経営状態の苦しい鳥栖のことを話してくれました。メインスポンサーがついていない鳥栖は、運営費を確保するために様々な努力をしているようです。空き缶や空き瓶をスタジアムにもってきてもらい、その収益金を運営費に回したり。また、地元のバンドが制作した鳥栖の応援ソングのCDをスタジアムで販売し、その収益金を運営費に回しているなどの話がでていました。札幌には、幸いメインスポンサーがつき、運営費のやりくりはなんとかなっっているものの、実際問題、赤字運営なのは事実です。Jリーグに上がっても赤字経営のクラブが多い現在、少しでも運営に役立てようという姿勢や、地道な活動は、札幌も見習っていくべきではないかと思ってしまいました。
さて、後半開始。後半に入っても、試合は相変わらず札幌ペース。むしろ、前半より札幌側のペースになりつつある。そして、後半始まってすぐ、ペナルティエリアに切り込んだ新村が倒され、PK。蹴ったのはバルデスだったが、なんと、鳥栖GK高橋のスーパーセーブにあい、ボールは枠の外へはじき飛ばされてしまう。突き放す絶好のチャンスだっただけに、このPK失敗で試合な流れが変わってしまうのか?、と心配したが、札幌ペースは変わらず。それにしても、今日の鳥栖GK高橋はファインセーブの連発だ。
そして後半15分。右サイドから、田渕から中央前線へボールが放り込まれる。これにニアにいた新村が、頭で軽く触れシュートの様な感じになり、左に流れる。鳥栖GKは左に反応するも、ボールは左サイドに走り込むバルデスの頭にあたって、ゴール右へ、キーパー完全に逆をつかれた感じになり、反応できず。札幌二点目。
このあと、マラドーナが、足を痛めたか、自ら交代のサインをだし、石塚と選手交代。それでも、札幌ペースは変わらず。後半38分、今度は、右サイドにいたペレイラから、中央にいた村田へパス。これを村田、ゴール正面から豪快なミドルシュート。まさに糸をひくような見事なシュート。これで札幌三点目。
さらに、2分後の後半40分。自陣からペレイラが左サイドを自らボールをキープしつつ駆け上がる。そして中央にいたバルデスへ、鳥栖DFの頭を越える見事なループパスがつながる。バルデス、これをチョップキック気味に蹴り込み、コンサドーレ4点目。ペレイラこの日は、アシスト3でアシストのハットトリック(そんな言葉があるんだか ^^; )。
試合の方は、このあとも、札幌の猛攻が続き、鳥栖に付け入る暇を与えません。終了間際には、足に故障を抱える後藤と鳥居塚が交代。試合の方はこのまま終了。終わって見れば、4-0の完勝でした。心配された前節の影響もなく、選手達は最高のプレーを見せてくれたと思います。
さて、この日の試合、5試合ぶりの復帰で、注目されたディド。この日は、40才の誕生日。でも、本人は、「自分はまだ30才だ」と言い張っています。今日、試合が札幌ペースだったせいか、あまり活躍の場面無し。したがって、調子がいいのか悪いのかは不明。顔を手術したせいか、ケガ前に比べると短く刈り上げたような髪型になっていたのが目に付きました。
この日の試合、札幌は試合を完全に支配し、4-0と久しぶりの完封勝ち。雨の中わざわざ見に来てくれた釧路のコンササポーターに、決して後悔させないような試合内容でした。優位に試合を展開できた要因は、完全に走り勝ちしたこと。トップにいる新村は、幾たび、DFの裏へ出るスルーパスに反応。再三、チャンスを演出しました。ポジションニングには真似のできない光るものがあるものの、シュートをしっかり外してしまうあたりは、やっぱり新村、と言わざるを得ませんでしたが。また、両サイドの田渕、村田のサイド攻撃も幾たびも見られ、ゴール前にチャンスボールをほうり込みました。
そして、忘れてはならないのが、ペレイラの存在。前節本田戦は、累積警告で出場できなかったものの、一試合ぶりに復帰したペレイラは、札幌の攻撃に厚みを与えました。ペレイラのすごい所は、その守備だけではなく、自ら攻め上がり攻撃参加もできること。この日の鳥栖戦、アシスト3も決めるなど、攻撃面で活躍しました。前節本田戦では、代わりにリベロのポジションに入った古川に、このような攻撃参加が見られなかったため、この日の活躍は余計目に付きました。守備面で、往年のプレーにかげりが見えると言われるペレイラですが、今の札幌には、ペレイラのように攻撃もできるセンターバックタイプの選手はいないだけに、3-5-2のシステムを札幌が取り続ける限り、リベロのポジションはペレイラ以外の選手には、まだ荷が重いと言わざるを得ないでしょう。
札幌は、敗戦の翌試合、負けられない大事な試合をしっかり取りました。二位以下に勝ち点で差をつけているとはいえ、何か起こるかわからないのがサッカー。次節も油断せず、しっかり勝ってほしいものです。
札幌は、これで、J昇格まで、マジック3勝。早ければ徳島戦で、自力で決まります。
(以上記事:二上英樹)