『二上英樹の観戦記』
今日の試合が、97JFLの折り返し地点、第15節です。明日からは、一ヵ月程の中休み入ります。前日行われた15節の試合で、2位の川崎が最下位の水戸に負けを喫するという波乱があっただけに、ここはすっきり勝って、勝ち点差をさらに広げておきたいところ。
この日の試合、アウェイの試合ながら今季始めてテレビ中継が、北海道でも行われる試合(もっとアウェイの試合を中継してよ、地元局のみなさん)。というわけで、札幌の自宅でのテレビ観戦となりました。
この試合、今月18日にグランドオープンしたJヴィレッジのこけら落としの試合。そのため、地元、福島FCにとっては、負けられない試合。試合前には、長沼会長や川淵チェアマンが出席したJヴィレッジ開園式が行われ、お2人はそのままVIP席で観戦とのこと。5000人が定員のこのスタジアム、満員のようです。このスタジアムおもしろいことに、ホーム側ゴール裏に席がありません。また、アウェイ側ゴール裏には芝席があるのですが、観客を入れていないようです(少数の人達は見えましたが)。お客の取れる試合を定員の少ないスタジアムで行うんじゃ、福島には収益面でちょっともったいないんじゃないかな、といういらぬ心配をしてしまいます(確か川崎戦もここでやるんじゃないかな)。
で、14:00から放送されたテレビ中継を見て、「あれっ、コンサドーレがホームのユニフォームを着ている?」。そう、コンサドーレは赤黒縦縞のホーム用ユニを着ていたのでした。福島のホーム用ユニフォームは、青と白の太い縦縞、そのため、コンサドーレの白いユニだと、区別がつきにくいとの判断のようです(福島昨年は青と緑のユニだったのに)。
札幌の先発は以下の通り、
- FW:山橋、バルデス
- MF:村田、マラドーナ、太田、後藤、田渕
- DF:中吉、ペレイラ、渡辺
- GK:ディド
怪我から復帰のマラドーナ、出場停止明けの村田以外は前節と一緒。3-5-2のフォーメーション。一方、対する福島FCも、3-5-2のフォーメーション。
試合開始しばらくは、お互いの出方をさぐり合い。それでも、福島のエンジンの掛り方の方がいいようで、再三コンサゴール前に攻め込みます。前半5分ごろには、福島FWの瀬川のシュートが、コンサゴールのバーをたたきます。それで目が覚めたかしらん、コンサ早くも先取点をゲットします。前半10分ごろ。ペナルティエリア外左側からのFK。蹴るのはマラドーナ。ニアサイドにペレイラ、ファーサイドにバルデスが走り込みます。それに福島DFがつられて空いた、その間のスペースに走りこんだ渡辺、ヘッドで福島ゴールにボールを叩き込みます。1-0。
その後しばらく、コンサペースになるも追加点は奪えず。この試合、負けられない福島FC、ジリジリと逆襲に転じます。前半22分。ペナルティエリア外から縦のスルーパスが、コンサゴール前へ、そこに走り込んだ、福島の八城、マークについたコンサDFが追いつく前に、そのままノートラップで振り抜きます。逆をつかれた格好になったディド反応できず、コンサゴールの左隅につきささります。1-1の同点。
これで、息を吹き返した福島、がぜん動きが良くなります。再三、左サイドを、俊足FW瀬川に破られ、ゴール前にセンタリングをあげられます。これをはねかえす、コンサドーレDF陣。試合はそのまま、前半も終盤へ。前半38分。左サイドにいた後藤からのセンタリング。走り込むバルデス、キーパーと交錯。こぼれたボールをゴールにけり込み、2-1、と思うも、キーパーチャージを取られ、ゴールは無効に。このまま前半終了。
ハームタイム、フェルナンデス監督の雷が落ちたかは不明だが、後半開始早々から、コンサ選手の動きがいい。後半6分。ゴール正面ペナルティエリアすぐ外から、前線のバルデスへ、ふわっとしたループパス。バルデスこれを胸でトラップし、GKと一対一。落ち着いて決めて、2-1、バルデス通算18点目、得点王独走状態です。さらに、後半12分。右サイドをドリブルで持ち込むマラドーナを、福島DFが倒して、FKをもらいます。蹴るのはマラドーナ。カーブがかかってゴール前に飛んだボールに走り込んだのは、渡辺。この試合、自身2点目にゴールをヘッドで決めて、3-1(前半の1点目と、そっくりのゴールでした)。
今季、札幌は二点以上とられた試合は、川崎F戦だけ。その他の試合は、取られても1点。無失点試合も多い。二点差つけて、これで試合も決まりか。福島FCの選手達の集中力も切れているに違いない。と、コンサ選手が思ったかどうかは知らないが、何と二点目を福島FCに決められてしまいます。後半20分。コンサゴールから見て、左からのコーナーキック。そこにフリーで走り込んだのは、福島の瀬川。ドンピシャのタイミングでヘッドを打たれ、コンサゴールにつきささります。これで、3-2。一点差においすがられてしまいます。このコーナーキックのとき、瀬川以外にも、2人ほどゴール正面にフリーの選手がいました。一点目はビューティフルゴールだったので、まあ失点は仕方ないところですが、この二点目は、完全にミス。マークに選手がついていないという致命的なミスです(こりゃ、きっとあとで監督の雷が落ちるな)。3-1になって、油断したとしか言い様がない失点でした。
これで、再び、コンサイレブンの目が覚めたのか、福島陣に攻め込みます。そして後半30分。ゴール正面ペナルティエリアすぐ外で、マラドーナこかされ、FKを得ます。蹴るのはもちろんマラドーナ。このエリアは、マラドーナゾーン。ここまで渡辺のゴールを二度アシストしているマラドーナ。ここは直接ねらいます。右足から放たれたボールは壁の上をきれいに超え、左ゴールポストにあたり、跳ね返ったボールは右サイドネットにつきささります。GK動けず。マラドーナらしいゴールで4-2。
このあと、今日大活躍のマラドーナ、怪我あけということで大事をとってか、鳥居塚と交代。交代した鳥居塚、後半40分、早速仕事をします。山橋からパスをもらった鳥居塚、ペナルティエリア入った所すぐから、ミドルシュート。横っ飛びするGKの手の先をすり抜け、ゴール右隅へ。これで、5-2。この頃には、福島FCイレブンも、テンションが下がってきていたようで、足が動いていず、鳥居塚がどフリーでした。
このあと、すぐ村田と黄川田が交代、早速左サイドを駆け上がりセンタリングをあげ、チャンスを作りますが、得点に結びつかず。その後、イエローをもらってしまうところは、相変わらず。
そのまま、試合終了。5-2で快勝。勝ち点も41にのばし、2位川崎Fと7点も差をつけました。明日からは、気持ちよく中休みには入れることでしょう。
さて、きょうの試合、注目すべき点は、良くも悪くもディフェンス陣。まず、渡辺。今日二点を決める大活躍。コンサドーレのセットプレー(FKやCK)の時、コンサドーレは、背の高い選手をゴール前に配します(バルデスの他、ペレイラ、渡辺など、この三人、全員180cm以上あります)。この高さを生かして、制空権を得、ゴールに結びつけようというのが、コンサドーレの作戦です。ところが、これまでのところ、この作戦あまり効をきたしていません。ゴールを決めるのは、ほとんどバルデスですし、シーズン開幕当初は、セットプレーからのこれら三人にあわせてのゴールは皆無でした。これらの点から見て、今日の渡辺のゴールは意味があります。意図したプレーができたわけだし、セットプレーの時はバルデス以外にもいるぞということを知らしめましたから。
次に、ペレイラ。今日のペレイラ、いつになく、積極的に攻め上がっていました。監督の指示か、自らの判断かは不明だが、相手ゴールライン近くまで攻め上がること多数。ペレイラのポジション、リベロですから、この攻撃参加はいいんですね。とりわけ福島が引き気味に、ポジショニングしてきて、5-3-2にほぼなっていましたから。おかげで、コンサドーレは、中盤が厚くなり、マラドーナがFWのポジションに位置するなんてことが、多々見られました。ディフェンス陣の攻撃参加は(両サイドのアタックも含めて)、攻撃のバリエーションを増やすだけに、今後も積極的にやって欲しいところです(ただし若干ペレイラの体力面で心配がありますが)。
ところで、今日のディフェンス陣の悪い点は、途中集中力が切れるところがあったことです。ディフェンス陣が攻め上がったせいで、カウンターをくらい、失点を食らったりするのは、システム上の問題だから仕方がないとしても(今日はその様なシーンはなかったですが)、福島に食らった二点目は、相手FWをゴール正面で三人もフリーにするといった大失態。3-1となって、集中力が切れ、気が緩んでいたとしか思えない失点でした。こういう点は、しっかり反省してもらいたいものです。
さて、今日の試合、いろいろな人がゴールを決めてくれて、コンサドーレがバルデスだよりじゃないことを見せてくれました(それでもやっぱりマラドーナだよりなのかな)。このように、いろいろな得点パターンをもっている事が(もっているぞと見せることが)、後期、天王山となる試合の時に、きっと効果を見せるのだと思います。
明日からは、ひと月ばかしの中休み入ります。サポーターの皆さん、後半戦の応援のために、しっかり休んでください(^^)。
(以上記事:二上英樹)