[第14節]in厚別:ヴァンフォーレ甲府戦(写真付)

『二上英樹の観戦記』

JFL前半戦も残り二試合。前節、予想外の2位以下のチームの敗戦で、ちょっと余裕のできた札幌。このまますんなり勝って、前半戦を終わりたいところ。

本州各地では大雨のため、サッカーの試合どころではない方も多いでしょうが、ここ札幌は雲一つない、快晴。本田戦以来のデーゲームで、気温も上がって熱い、熱い。しかも、試合日の三日前の段階で、メインスタンドのSS指定席とバックスタンドのS自由席は、売りきれてしまうという大事件。メインの方が売り切れたことはあるが、バックまで当日券がでないのは、コンサドーレの試合が始まって初めて。今日は、15000人を突破か、と意気込んででかけたものの、実際の入場者数は、以外と伸びず、10272人。売りきれたはずのバックスタンドに空席があるのはなんで?。といいたくなるような、拍子抜けでした。それでも、1万人を超えたのは偉い。この入場者数を、いまいちと言っているのは、余裕かうぬぼれか、バブルで終わらないことを祈るのみ。

さて、今日の相手は前節川崎Fに3-0で快勝している甲府。前節川崎をこてんぱんにやっつけただけに、侮れない相手。しかも、甲府には、今オフ、札幌から移籍した渡辺(晋)、新明らがいる。こういう相手は、相手選手のモチベーションが高いため、苦戦するもの(大分戦がそんな感じでした)、何かが起きる予感。それでも、まさか厚別じゃあ負けまい、と思いつつ試合を見る。

それでは、先発メンバーの紹介。

  • FW:山橋、バルデス
  • MF:黄川田、吉成、太田、後藤、田渕
  • DF:中吉、ペレイラ、渡辺
  • GK:ディド

累積警告カード三枚で、出場停止の村田に代わって、黄川田が左のウィングバック。また、2日程前の練習で足を痛めたマラドーナに変わって吉成が攻撃的MFの位置に入り、ゲームメイクします。この2人、厚別では初先発。しかも、吉成は厚別初見参。また黄川田は2節前の山形戦(厚別)で、交代ででているもののわずか10分。この2人が、どういったプレーをするのか。といった点が、今日の見どころ。控えは、いつもの通り。森、冨樫、浅沼、鳥居塚、吉原の五人。
一方、甲府の先発メンバーには、札幌から移籍した渡辺晋がいる。背番号は3であるものの(入団時はバックスとして期待されていたということ)、ポジションは攻撃的MF。今やゲームメイクもこなし、甲府の柱になっています。また、新明が控えに入っています。

さて、試合の方はというと、前半に風上に立った札幌が、キックオフから押し込みます。川崎に快勝した甲府の攻撃はどうだろうと様子見することもなく。甲府ゴール前に攻め込みます。甲府の攻撃も、そんなにすごいということもなく、危ない場面もなし。それでも、点が入りそうで入らない展開が続き、端々と時間が過ぎていくだけ。バルデス君が、ちょっと外しすぎといったところか。

ここで、今日の見どころの2人の選手の動きを見てみましょう。まず、吉成。結構よかったです。バルデス、山橋の両トップの底に位置し、ゲームメイクを担当しました。右に左に動き運動量も豊富でした。また、彼は左利きで、コーナーキックをよく蹴っていました(今日はほとんど吉成と後藤の2人がCKを蹴っていました)。彼のこの左足は武器になるでしょう。マラドーナや鳥居塚と、またちょっと違った間を持つ選手です。普段はあまり動かずボールを持った瞬間からパスを出すまでの動きがすばらしいマラドーナ。そのスピードに乗ったドリブルと豊富な運動量でゲームメイクをする鳥居塚。どちらとも違うんですね。吉成を見たのは、この試合が始めてなんで、うまく説明できないが、とにかく違う。ただ、今日は無難にこなしていましたが、これがJレベルで通用するかは不明です。

そして黄川田。その攻撃力に期待してみてたんですが、前半は最悪。やはりまだ守備面での動きとポジショニングが悪いようで、動きがぎくしゃくしていました。そのせいか、攻撃面でも生彩を欠き、悪い方へ悪い方へと気持ちがいってしまっていたようです。だんだん、声も小さくなっていっていたし、積極性も無くなっていっていたようでした。DFのフォーメーションとしては、センターバックには中吉と渡辺、右に田淵、そしてリベロのペレイラが、そのフリーな状態を生かして黄川田のフォローをするといった感じでしたが、とにかく黄川田の動きは良くなかったです。結構ポジショニングが他の選手とかぶっていたし、ボールもあまりもらえていませんでした。前半終了間際は、ピッチの外から、フェルナンデス監督の雷が落ちていましたから、かなり悪かったのでしょう。後半に入ってからも守備面での動きは相変わらず悪かったですが、バルデスの三点目をアシストしてからは、動きが良くなりました。

観客が、点はまだかあ、と思い始めた37分。コンサに大ピンチ。右から切り込んだ甲府FWの大柴が、中吉をかわし、渡辺卓もかわし、ディドと一対一。あかん、と思った瞬間、大柴のけったボールはゴールポストのほんの少し左側を外れていきました。これで目が覚めたのか、コンサドーレの選手の動きも良くなります(気のせいだったかも。でも、少なくとも、退屈してきていた観客の目は覚めました)。その二分後、右サイドのコーナーキックを得ます。蹴るのは吉成。その左足で蹴られたボールはゴール正面へ。これに走りこんで来たバルデスの頭にどんぴしゃり。目にも留まらぬ速さのボールが、すごいスピードで、ゴールネットにつきささります。ゴールキーパーとゴール内にいた2人の相手DFの計三人は、一歩も動けないほどの速さでした。これで、1-0。大切な先取点を得ました。前半は、これで終了。

さて後半、動きの悪い黄川田はどうなるか、と思われたが、選手交代はなし。一方、甲府は、15分に新明を投入。甲府は選手を替えてくるも、試合展開は変わらず。甲府の攻撃陣に脅威は感じられず。前半と同じような試合展開。ちょっと、このチームに川崎が3-0で破れたのが信じられない展開。DFは、選手の戻りが異常に速いも(カウンターを食らってもMF、DFの戻りが異常に速い。あっと言う間にゴール前には甲府の選手で一杯)、攻撃陣にそれほど脅威は感じられず、逆に、どうしちゃったのかな、と思ってしまうほど。

後半12分。ゴール正面ペナルティエリアの外あたりでボールを持った吉成。鮮やかなフェイントとスピードで、2人のDFの間を抜けます(いやあ、ほんとに鮮やかなフェイントでした)。右サイドゴールライン際まで持ち込んだ吉成、外側にいる田渕にパス。田渕これをダイレクトに蹴り、センタリング。ゴール前逆サイドにいたバルデス、相手DFと競り合いながらもヘッドを放ち、GKが手に触れるも、そのまま、ゴール左側に吸い込まれます。

さらに、続く後半19分。左サイドでボールを持った黄川田、相手DFと勝負。相手DFを抜きさった黄川田、ゴールラインギリギリまで持ち込んでセンタリング。ボールはゴロで転がりながらも、何故かゴール前を横切っていき逆サイドから走り込んでいたバルデス、ごっちゃんゴールを足でポンと決めます。これで、バルデス今日三点目、二試合続けてのハットトリック。絶好調です。

この初アシストで、気をよくしたのか、ここからの黄川田は動きが良くなります。再三左サイドを駆け上がり、自信を持って相手DFと勝負をし強引にボールを持ち込みます。この時、黄川田のポジションは、バックスタンド側でしたが、黄川田がボールを持つと、バックスタンドから拍手と歓声が。前半と守備の動きは全然ダメだったけれど、そのまっすぐにゴールを目指す剛(ごう)のスタイルは、他のコンサドーレの選手には無いキャラクターだし、見ている方にはわかりやすいので、早速ファンの心をつかんだようです。でも守備はまったくダメだったので、まだまだ村田は越せないようです。それでも、自分のスタイルを持っている選手なので、今後の成長が楽しみな選手です。

試合は、後半36分、吉成に代わり鳥居塚、山橋に変わり吉原がピッチに立ちます。バルデスのハットトリックも見られたし、あとは吉原のゴールだ、と期待されましたが、試合はそのまま終了。3-0で、勝ち点3を得ました。

今日は、バルデスショーでした。二試合連続のハットトリック、得点荒稼ぎ状態。得点を17点までのばし、ランキング2位のムタイルに7点差をつけて得点王独走。ここんとこ、続いている中位チームは結構攻めても来るので、それが、コンサドーレの攻撃陣の好調に繋がっているようです(ほとんどバルデスですが)。シーズン初めの下位チームとの試合では、がちがちに守りにはいられて、苦戦しましたから。一方、やはり気になるのは、日本人FWの元気のなさ。先発の山橋も、交代した吉原もゴールを奪えていません。バルデスの好調はうれしいですが、一人に頼りきった状態は非常に危険です。他の選手もガツガツいって、貪欲にゴールをねらって欲しいところです。

今日は、3-0で快勝も、得点パターンがバルデスへのセンタリングからだけのもので、多少つまらなかったです。もう少し、多彩な攻撃をしかけて欲しいところでした(前半はサイドからの攻撃があまり見られなかったし)。ここら辺は、ゲームメイクを担当した吉成や鳥居塚にとっては一つの課題でしょう(マラドーナがゲームメイクすると変わるんでしょうが)。

さて、JFL前半戦も残り一試合(福島戦)。アウェイでの試合ですが、サクッと勝って気持ちよく夏休みを迎えましょう。

(以上記事:二上英樹)


今日配られたプレゼント:今日は、丸井今井スペシャルデーと銘打って、入場者にプレゼントをくれました(丸井今井は本店が札幌にあるデパートです)。左:先着800人にはドーレくんキーフォルダーを(いいなあ~)。右:先着10000人には、コンサドーレサンバイザーがプレゼントされました(モデル、OSC『コンサドーレ寄り』のみどさん)。
ゴール裏サポーター席:試合開始前のゴール裏サポーター席。今日も、ゴール裏席はサポーターのみんなで埋め尽くされました。また、特大フラッグも、広げられました。
選手入場:両チームの選手の入場です。選手の先頭には、FIFAが提唱する『FAIR PLAY PLEASE』の標語が描かれた黄色いフラッグがあります。コンサドーレのフラッグを掲げるのは、コンサユースの選手達。また、コンサドーレの選手が手をつないで入場するのは、札幌市内の幼稚園児です。
左サイドを駆け上がる黄川田選手:今日、左サイドウイングバックとして初先発の黄川田選手。左サイドをドリブルで駆け上がります。後半1アシストと活躍しましたが、まだまだ守備面では未熟な面が見られました。それでも、ボールを持ったときの、キープ力と突破力には、見るものがありました。プレスをかけるのは、甲府FWの南選手。
今日三点目をアシストする黄川田選手:後半18分、黄川田選手がバルデスの三点目をアシストする瞬間です。ボールと黄川田選手は、他の選手の陰になって見えませんが、一番奥にいます。マークについているのは、甲府DFの石原選手。手前をバルデス選手と山橋選手が走り込みます。バルデス選手にマークするのは、甲府DF萩原選手。その他の選手は、7番:斉木、6番:阿井、29番:木村。
厚別初見参の吉成選手:今日、厚別初見参の吉成選手。怪我のマラドーナ選手の代わりに攻撃的MFの位置に入り、ゲームメイクを担当しました。バルデスの1点目、2点目にからみ、期待どうりの働きでした。コーナーキックは、後藤選手と半々で蹴りました。左利きの吉成選手のキックは、いつもとは逆の方向に曲がるだけに有効でした(いつも蹴っているマラドーナ選手と後藤選手は右足で蹴ります)。
甲府の渡辺選手:昨年、札幌にいた甲府の渡辺選手(3番)と、札幌のボランチ太田選手がボールを奪いあいます。札幌では、DFだった渡辺選手も、甲府では攻撃的MFの位置に入り、ゲームを組み立てます。相手チームのゲームメイカーにマークにつき、仕事をさせないことが仕事のボランチ太田選手と、いくたびも激しいバトルを繰り広げました。渡辺選手には、コンササポーターからもエールがあがっていました。20番は吉成選手。
甲府の新明選手:後半、選手交代でピッチに立った新明選手。ペレイラ選手をかわして攻めあがります。渡辺選手とともに、今オフ札幌から甲府へ移籍した選手です。甲府ベンチは、札幌ペースの戦況打開をねらって、後半開始早々から投入しましたが、得点には至りませんでした。28番は山橋選手。
試合後のヒーローインタビュー:今日、二試合連続でハットトリックを決めたバルデス選手の試合後の、ヒーロインタビュー。右から、テレビ局のレポーター嬢、バルデス選手、通訳のトーマス石川さん、そして、ドーレ君。バルデス選手、ここま での活躍はみんながそれぞれ自分の仕事をしっかりしているからということを強調していました。トーマスさんは、昨年までは、柏レイソルで通訳をされていた方です。ドーレ君、今日は暑くて大変だったことでしょう(グラウンドのピッチ上の気温は31度まであがっていたらしいです)。
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