今回の観戦記は、FMアップル「熱狂コンサライブ!!」で、いつもスタジアムからレポートを届けてくれている永井さんです。
『永井謙一郎さんの観戦記』
こんばんは。無事勝ちましたねえ。2ー0というスコア以上に完勝ムードでした。前節の本田技研戦と今回の試合を両方見た人のコメント。
「前回はウーゴのFKイッパツだけが見どころだったでしょ。今回の方がいろいろワクワクできたよねぇ」
さてさて、試合当初5分くらいは後方から大きくバルデスに蹴り出すとか、ウーゴに任せてなんとかしてもらおうという、まあウーゴ・バルデスのホットラインを使う毎度お馴染みのパターンでした。が、そうしてゆっくり様子を見ていくうちに鳥栖の中盤がちょっと緩めであるのを見極めたわけですね、札幌は。
そこで徐々に目立ってきたのが後藤主将。ウーゴ、バルデスに加えて一つ彼がアクセントとしてつなぎ役で機能することにより、中盤をひっかき回して俄然チャンスが膨らみはじめました。
で、いきなりこりゃ札幌の1点ものだ!っつうのが前半15分頃。CKを得てゴール前混戦、鳥栖GKが前に飛び出たところを真ん中から札幌の選手(渡辺?ペレイラ?山橋?)がシュート!。しかしゴールマウス入口で立ってた鳥栖DFのカラダに当たってクリア、うーん惜しいッス。
だが札幌はくじけない、イジケない。20分頃も後藤のシュート(ワクの上)、25分頃にやや左斜めからペレイラの強力FK(DF陣の脚に直撃)などがっつんがっつん攻めまくり。またDF陣も積極的で、まあ早いうちからペレイラが上がったり、ヤバそうなボールも渡辺が無事クリアしたり、中吉も地味だけど渡辺とのマークの受け渡しを無難にこなしているようなポジショニングで万事OK。
そして32分、DF陣に背中を押されるように田渕だの山橋だのが前につないでかなりの選手が攻め上がり、最後は後藤主将のゴール!
そんで、まあサッカー選手というのは1点取ると本当に動きがイキイキするもんでそこからは入れ替わり立ち代わりいろんな選手が攻撃的に機能。後半になるとより好き勝手に暴れ出します。
渡辺がボールとって真ん中やや左にいた山橋にボールを渡し、そのまま前方に走りこんで再び自分にワンツーをもらおうか、てなことしたり、あと後半21分頃、ペレイラが右サイドに切れ込んでコーナーフラッグのところまで突進してセンタリング、バルデスの胸へ!という豪快な攻めっぷりもあったり。よく「ペレイラが上がって攻撃参加でどうのこうの」と言いますが、あの上がりはペレイラがコンサドーレに来てからの最長不倒距離、スキーのジャンプでいうところのバッケンレコードではなかろうか?ってくらいですな。
2点目にいく前に、札幌の前線と中盤。つまりバルデス、山橋、ウーゴについて。まずバルデス。DF2人に挟み込まれるようなマーク、そして体調が悪かったのかややカラダが重そうで、ボールを持った後よく倒されました。で、審判にあまりファールを取られず「なぜなんだWHY?」という表情をしばしば見せてました。
次に山橋。動きとしては絶好調でした。ただ彼に渡ろうというパスがことごとく途中でカットされちゃったので触るチャンスがやや少なめ。後半ではやや下がってボールをもらいに行こうという消極的な位置にいたようです。
要するに、山橋はボールを受け取れない、バルデスはボールは受け取るけどシュートに持っていく体勢を作らせてもらえなかったわけです。
で、「これじゃイカンのじゃあ!」と一念発起したのがウーゴ。2トップがうまく仕事できないなら俺がやってやるぜ!とボールをもらったら自分でドリブルして持ち込んでなんとかしたる、と強い意志がみなぎってました。ウーゴが福岡にいた時から彼のファンという人のコメント。「あれは去年迄のウーゴそのままの動きだ」ウーゴは以前FWだったわけですからね。ふだんパッサーですが、この日はまさにFWそのものの働きぶり、ドリブラー専科でした。
で、そのウーゴの働きが実を結んだのが後半29分。鳥栖に攻め込まれたところから守り切ったペレイラが前方に大きく蹴りだしたら、うまい具合にウーゴの肩越しにボールが渡り、やや鳥栖DFの詰め寄りが甘いところをどんどん前進。しまいにゃGKと1対1っぽくなりGKの頭を越えるようなループショートでゴール!見事、ウーゴの独走一人旅ってなワケでした。
その後、鳥栖も田中、上村のFW陣にロングパスが渡ることはしばしばありましたが、ディドが教科書通りのポジショニングでキャッチ。ピンチを防ぎました。鳥栖は2トップがよく張り切ってました。JFLイヤーブックではMF登録の田中、FWイケるんじゃない?充分怖かったッス。上村の走り込みもまずまず。惜しいのは11番MF古賀。前半20分か30分くらいまでは彼もかなり前方に位置して「3トップか?強気だなあ鳥栖」と思ったんですが、なんか知らない間にジリジリと一段下がっちゃった。
もう一人惜しいのは10番氏家。もし彼あたりから細かいプレイでかき回されれば、渡辺、ペレイラなどがおいそれと攻撃参加できなかったわけですからね。
後半16分に氏家OUT、8番後藤太郎INしたのも「氏家に見切りをつけて中盤により有効な基点を置いてなんとかしたい」という鳥栖・楚輪監督の意志なのでしょう。
つまり、鳥栖の中盤不在が前半の後藤と後半のウーゴの活躍を要因となったわけですね。活躍できるようなド真ん中スペースを札幌にくれたわけですから。
ところで後半40分頃に札幌の幻の3点目があったんですよ。
もう絶好調のウーゴが右サイドからセンタリング、ボールはDFが1人ついてるだけのバルデスへ。この日のバルデスとしては珍しくドンピシャのタイミングでいとも簡単そうにヘディング、ゴール!と思ったんですが、なにやら審判の動きがヘン。どうやらバルデスがファールをとられてノーゴールに。
あれれ、と思いましたね。バルデスも鳥栖DFも、競ってるときに身体ぶつけてその場に倒れるとかの仕草はありませんでした。チャージはなかったように見えました。後で知りましたがフェルナンデス監督もあれれ、と思ったそうです。
バルデスがDFと競ってるときの仕草をよほど細かく審判に見られたんでしょうね。そのくらい「あれはファールじゃないでしょ~」の声が大きい出来事でした。試合中、バルデスのスッテンコロリンが多く、「ファールでもないのに用も無くよく転ぶなあ」と審判に悪印象を与えたから、とは思いたくないのですが。
てなわけで札幌のいろんな選手が中盤を支配して、やりたい放題の攻め放題。危なげなく楽勝というところでした。
どのくらい攻め放題かというと、シュート数、鳥栖6本・札幌15本。
うち札幌はウーゴ4本。後藤3本。ペレイラ、バルデス各2本。渡辺、田渕、山橋、鳥居塚各1本。シュート打った人、バラエティに富んでますね。
ただ心配なのが村田。地味な中吉よりもさらに消えてたというのはヤバイっす。よほど脚がパンク寸前なのか?試合開始早々に倒されたときはもうヒヤヒヤでした。なんとかして村田を休ませてあげたいですよ。田渕を左サイドに移すという以外に村田の代わりを埋める作戦はないですかねえ?
そういえば、「バルデス幻の3点目」に続く疑問がもう1つあるのです。
後半31分、鳥居塚IN・渡辺OUTしたんですが、まぁ鳥居塚を入れるのはいいんです。ウーゴがFWっぽい働きになり、山橋が下がり気味だったんで、「山橋、もっと前でいいよ」と中盤に駒を一つ置いたわけでしょうから。
でも渡辺OUTの理由は?ピッチの外に出た時の渡辺は身体を傷めているようには見えなかったし、特に渡辺のところから鳥栖に突破されたという極端な穴があったようでもないし・・・。正直、渡辺と中吉を比べたら渡辺お貢献度がより大だと思うんです。なのに交代は中吉ではなく渡辺?渡辺が疲れてたというのかな?。このへん、ちょっと分からんです。
ま、でも90分で勝ったし、無失点だし、イエローカードは札幌には出てないし、めでたしめでたしでイイでしょー。現場は雨と蒸し暑さでちょっとキツいかな?と思いましたが、選手はそんなのを気にせずよく動いてました。今回に限っていうと道内と道外との環境の差はなんら影響はなかったようです。雨の勢いも弱いから、身体や芝へのダメージもさほどないように見えました。
さて次はホームで山形戦。川崎Fを延長まで引きずったり、順位も常に中位をキープしてるチームということで、気持ちを引き締めてかからねばイカン相手でしょう。でも大丈夫。自信持って金曜の夜を待ちましょう!
(以上記事:永井謙一郎さん)