『二上英樹の観戦記』
四強サバイバルマッチレース前半戦最後の対戦相手がやってきた。ここまで、川崎F、東京ガスに対して1勝1敗の札幌は、勝ち越しておくためにも、負けられない1戦。サポーターの方は、それを知ってか知らずか、入りも入ったり、13245人。平日のナイターながら、見事観客動員数の最高記録を更新しました。この日、6/13は、丁度一年前、感動的な勝利を納めた鳥栖戦が行われた日でした。そう、丁度コンサドーレが札幌で初めて試合を行った日です。あれから1年、今シーズンは、札幌での試合は既に四試合目、チームの状態も絶好調で、うれしい限りです。
試合の方は、7時に時間どうり始まりました。札幌の先発メンバーは以下の通り、
- FW:山橋、バルデス
- MF:村田、マラドーナ、朝倉、後藤、田渕
- DF:冨樫、ペレイラ、中吉
- GK:ディド
累積警告で出場停止の太田、渡辺に代わり、朝倉、冨樫が先発。山橋は、厚別では初先発。対する本田は、
- FW:田島、新田
- MF:長澤、井幡、吉田、ドウグラス
- DF:大仲、サンドロ、岩崎、吉澤
- GK:大橋
の4―4―2のフォーメーション。中盤には、昨年札幌にいた吉田がいます。中盤の要、バウテルは累積警告で出場停止。
序盤は一進一退の試合展開で進みます。いつもながらのスロースターターの札幌は、時々本田にゴール前に攻め込まれる。それに対して、札幌は一試合ぶりに復帰したマラドーナとバルデスのホットラインで突破をはかるも、バルデスを徹底的にマークするサンドロの活躍で決定的なチャンスに持ち込めない。そうこうしているうちにスタンドが沸いたのは、左サイドを駆け上がる村田が思いっ切り引っかけれたとき。村田はピッチに倒れてしまう。走ってきた主審の右手には赤いカード。レッドだ!!レッド??、と、ざわざわするスタンド。でも示されたのはイエローカード。審判は、倒れ方の激しさにちょっと熱くなってたのか、レッドカードをもちつつ走りよってきたものの、選手の前に来たときは、胸ポケットからイエローカードを取り出し掲示しました。その後も一進一退。それでも、攻めたり攻め込まれたりで、決して退屈な試合展開ではありませんでした。前半終盤になって、バルデスもゴール前でオーバーヘッドを見せたり(見事空振りしましたが)、また、正面からのシュートをゴールバーにあてるなど(本田DFの体を張ったディフェンスのせいですが)、見せてくれましたが、点には結びつかず前半終了。
後半になって、札幌は中吉に変えて、鳥居塚を投入。DFラインを四人のラインディフェンスにして、4-4-2に変更。これが功を奏したのか、試合はだんだん札幌ペースになっていきます。それでも点は入らず、バルデスは得意のヘティングをゴールポストに当てるなど見せてくれるもゴールネットは揺らせず。鳥居塚を投入して4-4-2に変えても、中盤ががっぽり空いてしまう悪い癖は抜けず、速攻の時など前線と最終ラインのあいだがごそっと空いてしまっています。後ろのラインの押し上は遅く、前半は押し込まれたときには3バックにもかからず、両サイドウイングバックとボランチが最終ラインまで下がってしまうことがあり、6バックスになってしまっていました。 札幌は何度もゴール前に攻め込むも、本田はのらりくらりとかわします。これも、押し上げが遅いが故に分厚い攻撃ができていないからだと思いました。今年守備で勝ち抜いてきた本田にしてみれば、これが本田のペース。試合も終盤にかかり、このままではまずいなあというという気持ちを、振り払ってくれたのがマラドーナ。後半35分ごろペナルティエリア外左側でFKを得ます。蹴るのはマラドーナ。見事壁の左側を抜けたボールは、キーパーの手がわずかに届かず、ゴール左隅下に直接吸い込まれます。待望の先取点が入ります。その後、試合もロスタイムに入り、札幌ゴール前のCKに、本田のGK大橋も上がってきます。川崎戦でのディドを見て入るようでしたが、本田は点を入れられず、そのまま試合終了。
札幌は、大事な勝ち点3を得ました。これで、川崎、東京ガス、本田の三試合を二勝一敗の勝ち越しの結果で終えることができました。まずはよしといったところでしょうか。後半戦にもあるこの三連戦は、アウェイで2試合、ホームで一試合です。厚別の東京ガス戦は無敗神話もあるので勝てるでしょうが、他の二試合アウェイで勝てるかどうかは、わかりません。この三試合を勝ち越せるかどうかが、J昇格に大きく関わってくるしょう。それまでは下位チームに取りこぼしすることなく、勝ち進んでもらいたいものです。
(以上記事:二上英樹)