[第8節]in厚別:西濃運輸戦

『二上英樹の観戦記』

 前節は川崎F相手に感動的な逆転Vゴール勝ちを納め、今節の戦い方が注目される。二日前に行われた試合でここまで全勝の東京ガスを川崎が破り、上位組の星のつぶしあいが行われているここ数節。ここは、今後のためにも、得点を稼いでおきたいところ。

 でも、この日の札幌は朝から雨。試合開始一時間前には、やんだものの、観客数は伸びず、6000人強でした。先発メンバーは以下の通り。
FW:吉原、バルデス
MF:村田、マラドーナ、太田、後藤、田渕
DF:冨樫、ペレイラ、渡辺
GK:ディド

 いつもの3-5-2フォーメーション。控えは、山橋、鳥居塚、浅沼、中吉、森。対する、西濃運輸は、4-4-2。
 試合の方は、試合開始から札幌が押し込みます。西濃は、守りを固めてカウンターをねらう作戦。DF4人、MF4人がきれいに二列のラインを構成していて、札幌は攻めきれません。また、札幌が押し込んでいる関係上、両サイドにスペースもなく、田渕、村田の両サイドが攻め上がるのも、今一と行ったところ。何度か惜しいチャンスができるものの決定打にはなりきれません。得点シーンを期待するサポーターの方もいらいらとしてきます。事態が好転しないとふんだフェルナンデス監督、早くも前半30分に動きます。DF冨樫、FW吉原に変えて、MF鳥井塚、FW山橋を投入。前節川崎戦でも見られた4-4-2のフォーメーションにチェンジ。その1分後、右エンドラインギリギリから田淵がセンタリング。ファーサイドのバルデスが頭で中におりかえすと、そこに頭から飛び込んだのが山橋。先制点は、山橋にとってはJFL初ゴール。 この得点で、静かだったサポーターも盛り上がり、しばらくは押せ押せになるも、期待された追加点は奪えず。そのまま前半終了。

 後半は、もうちょっと見せてくれるかと期待したものの、後半20分ぐらいまでは最悪。ボールは札幌が支配するもスピード感は全くなし。ボールを奪っても、サイドからの素早いカウンターにつなげるというよりは、中央をゆっくりと上がっていくと言った感じ。このまま、1-0で終わるのかと思われた後半25分。左寄りペナルティエリアすぐ外で後藤がこかされ、FKを得ます。蹴るのはマラドーナ。壁の右側を抜けたボールはそのままワンバウンドして、ゴール右隅へ。これで2-0。ここから試合終了までは札幌ペース。ボール回しのリズムも早くなり、35分、ゴール正面のごちゃごちゃした中を、バルデスとマラドーナがワンツーできれいに抜きさる。GKと一対一になったバルデスは、軽くチョップキックで、GKをかわしたシュートを打ち3-0。さらに、終了間際、左からゴール前にほうり込まれたボールにマラドーナが飛び込み、ヘティングシュート。これで4-0と思われたのだが、マラドーナのハンド。兄貴譲りのゴッドハンドがでてしまい、マラドーナは痛い通算三枚目のイエローをもらってしまう。このまま、試合終了。厚別の連勝を12とのばしました。

 この日、仙台で行われた仙台-本田戦がPK戦までもつれたため、コンサドーレが本田をかわして勝ち点で単独首位にたちました。取りこぼしすることなく勝ちを納め、完封もしたので、めでたしめでたしというとこだけれども、今日の試合は今一でした。チーム全体に、緊迫感と言うか、躍動感にかけていたような気がします。得点が3点に終わった事が、いけなかったのではなく、一つ一つのプレーに迫力と言うか集中力が欠けていたのを感じました。この点は西濃の選手の方が、なんとしても守ってカウンターだというのが、表れていました。西濃は二点目をとられてからは、その集中力もなえてしまっていたので、札幌は、前半に二点目を取っておきたかったところです。

 さて、気になるのは、ここしばらく3-5-2のシステムがうまく機能していないこと。攻撃的なシステムなのに、DFライン、あるいは中盤の底からの攻撃がうまく繋がっていません。むしろ、5-3-2と言った感じです。だから、インターセプトからの攻撃に迫力がありません。太田から前線へのつながりが悪く、また、村田、田渕の両サイドのオーバーラップにあまり迫力を感じません。守備をしっかりしてから攻撃にという思惑のようですが(あるいはカウンターを警戒しているせいか)、2人のポジショニングの位置が深いです。最終ラインにいることが多く、今の倍くらいにオーバーラップの回数を増やしても好いような気がしないではありません。また、DF上がりのウイングのせいか、相手DFとの勝負の回数が少ないです。安全に安全にというのがスタンドから見ていてもわかります。でも、サイドを駆け上がるときは、FWなんだから、もっと突っかけて相手DFにプレッシャーをかけられるようにならなければ、いけないと思います。せめて今日は、そうあって欲しかったです。相手攻撃人二人に、五人のバックスが常時いる必要はないですから。

 次節は東京ガス戦ですが、マラドーナと田渕が累積警告数3枚で出れません。マラドーナの終了間際の、いらぬイエローが痛いところです。が、今さら愚痴を言っても始まりません。この2人の出場停止で、おそらくMF浅沼が田渕のポジションに先発で出場、また、MFマラドーナの代わりにMF吉成がでてくるでしょう。吉成は、鳥井塚とどちらが先発になるかはわからないところです。浅沼は、今季初登場になるだけに楽しみな所です。吉成は、マラドーナと違った感性のゲームメイクをするだけにこちらも期待できます。個人的には、厚別で2人を見たかったところです。相手は東京ガス、しかもアウェイ、かなり苦しい戦いにが予想されますが、是非勝ちを拾って欲しいものです。

(以上記事:二上英樹)

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