『二上英樹の観戦記』
道内開幕戦となったこの日の、対戦相手は開幕戦で仙台を下し、今季台風の目になるかもしれないNTT関東。会場となった室蘭入江競技場は朝から雨。試合中もやむことは無かった。このような天候にも関わらず、室蘭にやってきたサポーターの数は8500人。12000人収容の室蘭入江競技場ですから、アウェイチームのゴール裏以外は、ほぼ満杯の状態。今季JFL最高の観客動員数を記録すると共に、コンサにとっては昨年から通してホームゲーム2位の観客動員数を記録。コンササポーターが北海道でいかにコンサドーレの帰りを待っていたかがわかる数字となりました。
今日の対戦相手NTT関東は、第一節を3-0で仙台に快勝、第二節は川崎フロンターレに破れたとはいえ0-1、とジャイアントキラーぶりを見せつけてきているチーム。北海道に帰ってきて8500人のサポーターの後押しがあるとは言え、決して気の抜けない相手が道内開幕戦の相手となった。
さて、コンサドーレのの先発メンバーとポジションは以下の通り。
FW:吉原、バルデス
MF:村田、マラドーナ、太田、後藤、田渕
DF:冨樫、ペレイラ、渡辺
GK:ディド
フォーメーションはこれまでどうりの3-5-2。FWは、バルデスとここんとこ調子のいい吉原のツートップ。MFは、太田がボランチ、マラドーナと後藤が攻撃的MFで、両サイドに村田、田淵が配置するスタイル。DFは、ペレイラがリベロに入り、冨樫、渡辺がストッパーの3バック。GKは守護神ディド。
試合の方は、前半開始からコンサドーレがゲームを完全に支配します。ボールを圧倒的に支配し、NTT関東ゴールを襲います。しかしながら、GK山岸を中心にしたN関の堅い守りにゴールを割れません。N関は、守備的な陣形からカウンターをねらうスタイルで、徹底的に守ります。ボールが両サイドに展開したときは、ペナルティエリア内にN関の選手6~8人がいるぐらいディフェンシブに戦います。コンサドーレのシュートが何度N関の選手にあたったことか。ほんとに、ゴール前に壁のように立ちはだかります。最初こそ、いろんな形で攻撃を試みていたコンサイレブンですが、そのうち攻め疲れたのか、なんか惰性で攻撃しているような感じになります。同じようなテンポで、同じようなサイド攻撃をし、同じように守られるといった感じの試合展開です。コンサドーレの攻撃は、ボールを取ってから最前線に送るまでが丁寧に行こうとしているのか、ちょっと遅く、その間にN関はほとんどの選手がゴール前まで戻っていると言った感じです。N関のカウンター攻撃がどんなに素早く感じたことか。このまま、何事もなく前半終了かと思われた終了間際、MFから前線にでたスルーパスに走り込んだ吉原と、それをカットしようと前に出てきたGK山岸が交錯します。そのまま2人は倒れ込んでしまいます。山岸は立ち上がりましたが、吉原はそのまま担架でピッチの外へ。スタンドがざわつきますが、そのまま前半終了。
後半が始まって、吉原も復帰。それでも交錯したときは軽い脳振盪を起こしていたのだとか。後半の試合展開も前半と同じ、そうこうしているうちに、相手陣の右側でFKを得ます。それをゴール前左側でもらったペレイラがCKにします。左からのCKを後藤が村田とショートコーナー、再び蹴った後藤のボールはニアサイドに走り込んだペレイラの頭にドンピシャ。ゴール左隅にペレイラ今季初ゴール。コンサにとって、セットプレーからの初ゴール。待望の1点が入ります。このセットプレーのとき、ファーサイド側にいたのが、バルデスと冨樫。ニアサイド側にいたのがペレイラとだれかもう一人。この四人がゴール前に横にラインを形成するように並んで、CKが行われました。だれかもう一人がもし渡辺ならコンサドーレは180cm級の選手を4人もセットプレーのときはゴール前に並べられるわけで、これはかなりの得点パターンとなりそう。でも、開幕三試合で1点しか取れていないから、うまく機能していないのかもしれないが。
この1点でゲームは動くか、と思われたが、相変わらず。それでも、N関が攻撃にでてきたため、ボールはグラウンドを端から端までよく動くようになりました。バルデスのオーバーヘッドキック二発や、マラドーナのループシュートなど、ちょっと盛り上がる所はありましたが、点は入らず。前半はほとんど仕事のなかったディドも、試合終了間際の五分間は見せ場がやってきました。コンサイレブンが油断したのかどうかはわかりませんが、N関の見事な攻撃を二度ほどくらい、一度はゴールバーに救われるという、ちょっとひやひやした場面がありました。それでも、この二度のピンチをかわしたコンサドーレは、無事勝ち点三を得ました。
道内開幕戦として注目した試合でしたが、ナビスコの活躍を知るサポーターにとっては、ちょっと物足りない試合内容でした。この日は、雨ということもあり必ずしもグラウンドコンディションが良くなかったことや、相手のN関も決して弱いチームではないので、勝ったことは評価されますが、それでも、ちょっと盛り上がりに欠けていたような気はします。おそらくそれは攻撃陣に理由があるのだろうけれど、貝のように守りに入った相手に対し、ゴールをこじ開けるような試みが少なかったからでしょう。コンサドーレの攻撃のパターンやテンポがほとんど同じで、N関のDF陣は、ぞくに言う守りなれた状態になっていました。そのため、試合時間だけがただ過ぎていくと行った感じになってしまいました。もう少しアイデアのある攻撃をしてもいいような感じはします。最初に決めたルールというかフォーメーションに縛られているのではという勘がなきにしもあらずといった感じでした。また、DF陣も、開幕から三試合、無失点に抑えているので、絶好調なのでしょうけど、試合中には結構ミスが目に付きました。もうちょっとプレーに丁寧さが欲しいところです。
コンサドーレはやはりピークが一度、ナビスコで頂点に達していて、現在はやや下がり目なのかなという気がします。おそらく、上位陣との対戦が始まる6節あたりからにもってくるつもりなのだろうけど、サポーターとしては気が気じゃないです。
(以上記事:二上英樹)