この日開かれた代表取締役会で、JFLの鳥栖フューチャーズが解散することが発表された。鳥栖は、メインスポンサーのPJM撤退による財政難により、解散か存続かの判断を迫られていたが、この日までにPJMに代わるスポンサーが見つからず解散ということになった。ただ、正式な決定は来月20日に開かれる株主総会で決まるそうで、それまでに新たなスポンサーなどが決まれば、決定がくつがえる可能性も残っている。選手などには明日、この決定を通知する予定で、かなりの選手が移籍先を探すことになりそう。鳥栖の解散をなんとしても食い止めるために、地元や、サポーター達の署名運動などが行われてきたが、それも実らなかった。
今回の解散劇は、サッカーのクラブ運営に一石を投じるものである。ある程度のチームレベルを維持しようとすると、クラブ運営費用はかなりのものになる。それはJFLとて例外ではない。実際、二年後のアクションプラン(Jリーグ二部制)を見越した上で、コスモ四日市は今シーズンでの撤退を決めたし、ヴォルティス徳島や福島FCは参加が難しいだろうとみられている。これらは全て資金難が理由である。コンサドーレ札幌にしても、対岸の火事とは言ってられない。現状のように出資金やスポンサーに頼ったクラブ運営だけでは、いずれ札幌もということになりかねない。実際、今年度は赤字が若干でるようで資本金の切崩しを行う予定であると聞く。とは言え、Jリーグで優良な手本としてよく上げられる鹿島や浦和にしても、実際は赤字を出して運営しており、黒字運営が非常に難しいのも事実である。
すなわち、Jリーグの初年度の成功に気をよくして先のことを考えずにチームだけを作ることや、Jに上がれば即もうかるという考えが、間違っているということを意味している。現在Jのクラブにしても、チームを運営するだけでは不十分ということである。Jリーグの100年構想では、プロサッカーチームとしての活動を中心に、総合的スポーツクラブ等の企業としてクラブを運営するようにということになっているが、それを実行できているチームはJにしてもまだない。Jのチームでもやっていないのだからコンサドーレ札幌もまだ、という理屈は通るわけなく、フロントにはJに上がるという大仕事とは別に、しっかりとした経営とヴィジョンに基づいたクラブ運営を望みたい。さもないと、せっかく札幌開催が決まったW杯が開かれる頃には、ドームはできたがクラブはなくなっていた、なんてことにもなりかねない。