[第十六節]in札幌:福島FC戦

 オリンピックのための夏休みも終り、一月ぶりのJFL、後半戦の開幕戦。来期Jリーグに昇格するために今季2位以内が必要なコンサドーレはもう1敗もできないところ。という台所事情とは裏腹に、観客の入りが今ひとつ。発表では観衆は6500人くらい。札幌では、翌日が始業式、夏休み最後の日、宿題に追いまくられている小学生に観客動員は期待するのは無理なことか。それでも、久しぶりの試合ということで、サポーターはいろいろなことを準備していたようで、新しい応援コールが聞けたリ、また一辺が10mを越えるかと思われるビッグフラッグが登場したりとなかなか意気込みが感じられます。

 さて、札幌厚別でのナイターでのホームゲームとなった試合の方は、ケガから回復のパベル、新加入のルボシュのチェココンビ、今季初出場になる茶木が先発に名を連ねる。DFはいつものメンツ、MFはケガの朝倉に代わり、太田がボランチ、攻撃的MFにパベル、両サイドに後藤(義)、浅沼を配した布陣。トップは、金さん、ルボシュの超180cm級ツインタワーコンビ。

GK:茶木
DF:村田、ペレイラ、冨樫、後藤(静)
MF:太田、後藤(義)、浅沼、パベル
FW:金、ルボシュ

 中休み中の練習試合での好調ぶりから、どれくらい圧勝してくれるかという期待とは裏腹に、攻めども攻めども点の入らないじれったい展開。ゲームを9割方支配するも、ルボシュには福島FCのクラウジオがぴったり。ルボシュと周りのコンビネーションも今一で、うまくラストパスがつながりません。パベルは、張り切っているのか運動量豊富に動きまわるも、なんか今一パスが繋がらない。これはいつものまずい展開かな、と思っている内に、前半30分くらい、中央をドリブルで突破され、右に出たパスに川口(裕)がどんぴしゃり、ゴールに蹴りこまれます。またもや、1点を先制される苦しい展開。その後圧倒的に攻めるも、ゴールには結びつきません。そうこうしている内に前半も終了間際、左コーナーキックをもらいます。蹴るのは後藤(義)。ゴール前には金、ルボシュ、ペレイラ、冨樫の180cmを越えるのっぽが勢ぞろい。後藤が蹴ったボールはファーサイドの方へ伸びていきます。ボールを蹴る瞬間、ゴール前のルボシュと冨樫がゴールライン際へ詰めていました。これにDFがつられ、PKを蹴る辺りからファーサイドにぽっかりスペースが開きます。そこにいるのがペレイラ。マークがついていましたが教科書どうり地面にたたきつけたヘッドはゴールに吸い込まれました。これで、1-1の同点。前半はこのまま終了。

 後半開始から、がんがん攻めるも、ゴールに結びつかないコンサドーレ。見ている方はいらいらが募ります。後半も30分過ぎ、札幌は金と太田に変えて、川合と木島を投入します。スタジアムに川合コールがこだましている内に、川合は福島FCのDFが回しているボールを追っかけます。そのうちにDFがGK川口(晃)にバックパス、川合が猛然と詰めます。これに焦ったかどうか知りませんが、なんとこれをGKが空振り、そのままボールは福島FCのゴールへ。これもなにかをやってくれる川合効果か。棚ぼたの1点が自殺点で、札幌に転がり込みます。これで試合は札幌ペース。40分ごろ、自陣でもらったFKをゴールへ結びつけます。後藤(静)が蹴ったボールは、ルボシュの頭へ。これをルボシュがバックヘッドで、左サイドに流し、詰めていた木島がゴール際まで、持ち込みます。そこから、ゴール前を横切って右にマイナスにでたセンタリングに浅沼がどんぴしゃりで蹴り込みます。これで、3-1。あと1点取れば、開幕と一緒だ、と思っている内に試合終了。とりあえず、1勝を上げました。

 延長もせず、3-1で勝利。スコアからは楽勝の試合に見えますが、ゲームをずっと見ている方は、問題点ばかり目に付いてしまいました。まず、コンビネーションが非常に悪かったです。今回は茶木、太田、パベル、ルボシュと今季初、あるいは久しぶりといった選手が多かったせいか、ポジションがかぶったり、パスがあらん方向へでたり、といったことが非常に多かったです。後半、川合、木島といった選手がでてきてからの方が、スムーズにパスが繋がるようになったのが、それを物語っています。あと目に付いたのは、新加入のルボシュは足が遅いです。サイドにでたボールをDFと競り合って追っかけるときはほとんど負けてました。それでも、ウリのヘッドは目を見張るところがありました。福島の長身DFのクラウジオがぴったりマークについていたのと、今日は全然サイドからのセンタリングが上がらなかった所為もあって、ゴールには結びつきませんでしたが、ポストプレーをするときのボールの振り分けは、結構鋭いものがあったです。ヘッドでスルーパスを出せるぐらいの鋭さがあったです。問題だったのは、そのパスが味方のいない方向へばかりいって、繋がっていなかったことですが。これも、コンビネーションがまだうまくいっていないからでしょう。ルボシュをいかすには、加藤や木島、村田などがゴールライン際まで持ち込んで、マイナスの浮したボールをゴール前にほりこめるようにしないといけないと思います。そうすれば、ルボシュも前を向いてヘッドができるし、そうそうバックスに競り負けることは無いでしょう。今日は、中盤からの前線へ出すパスをポストみたいにヘッドしていて、後ろばかり見ていました。

 DF陣はというと、1点は取られはしましたが、良かったと思います。結局、福島のシュートを三本に押さえましたし、あの、失点は攻撃陣の所為でしょう。9割方ボールを支配して、押してても点を取ってくれなければ、チーム全体が攻撃に意識がいくのは仕方がないことです。そういう時には、時にカウンターで点を失うことがあるものです。まあ、愛敬というところでしょう。でも、見ている方は、またかという感じで同点になるまでははらはら、いらいらしていましたが。

 まあとにもかくにも無事勝利を上げたコンサドーレでしたが、コンビネーションのまずさを解消しない限り、前途多難です。コンビネーションさえあえば、個々の能力は非常に高いんだからといいたいです。

(記事:二上英樹)

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