[第七節]in浜松:本田技研浜松戦

『油選手に託されたゲーム』

こんばんは。長いシーズン、いろんな試合を経験するものですが、 いやあ、5試合連続延長とは・・・。 ところでサッカーにおいてミスジャッジなんてケ・セラ・セラなんですが、 この日は今季の札幌、初めて審判に泣かされたゲームを体験しました。 と、いっても一方のチームに偏り、という意味ではありません。 とにかく今日の主審、笛を吹いてゲームを止めること止めること。 札幌も本田も区別無しにすぐセットプレーに。ちょっとルーズボールを ヘディングで競っただけで「ピィッ!」はねえ・・。 流れをせきとめないで欲しかったなあ。 札幌も本田も選手はズッコケまくりでしたよ。 なかでも一番の狂乱モノは延長前半、いざ札幌(ペレイラか?)の 死力をふり絞ったセンタリングを、本田の選手が手で止めた 見え見えのファウルを平然と流したちゃったこと。 もう2分はブーイングが鳴り止まなかったっすね。 本日、サポーターはメインスタンドで応援を展開してて、 その俺達の目の前でハンドやってたんだもん。 いくら審判からブラインドといってもさあ、なまじ丸見えなんだもん。 くやしすぎるっすよ!!

さて、その審判の厳格すぎるジャッジも影響して、今日はまさに 「油選手に全権委任された試合」でした。 と、いうもの油選手。本田の得点王・ロペス封じにスタメン抜擢され、 もう「こいつそんなにロペスのこと好きか?」と言わんばかりの 密着プレイでロペス、一歩も身動きさせず。 本田が前半かなりの時間、音無しだったのはひとえに油のおかげです。 でその間、攻撃陣もパスがワクワクするくらいつながっちゃって、 たて続けに2点ゲット。キムさん大当たり、ペレイラ強い! 復帰したアルシンドも前半、相手と接触してファウルの際、 本田の選手と「まあまあ」と握手を求める微笑ましい場面も。

ところが!前半何分だったかなあ、油とロペスのちょっと危うい接触があり、 ちょっと本田側がいつまでもごちゃごちゃ文句を言ったおかげで、審判が 「ね、油クン。今から2つ前(!!)のプレイなんだけど、 あれ、こーゆーことで、ねっ」 と隠れるように後ろ手で油にイエロー出してやんの! プレイは流れてんだぜ、今ごろ前のプレイを振り返ってそんなの出すか! ちょっとアンタ判断遅すぎるんじゃないの!?

ここから全てが狂ってしまったのです。 今日、油は2枚のイエローで退場なのですが、 うち最初の1枚は物事を即決できない審判が前のプレイを振り返ってのカード。 で、油が去った後のロペスはすげえイキイキしてやがんの。 そんで審判の理不尽な笛に気分が荒れたのか、お互いハードなぶつかり合い。 平川がその勢いに呑まれてしまい、 脚をあげての一発退場。その際、アルシンドも、 ファウルした本田の選手のおデコをビシッ!と平手で叩き、あわや!?の場面。 その時、新明がそばにいたので、 「新明!お願いだ、アルシンドのそばにいて、抑えてくれ!」 と俺達は泣きましたね。 で、油と平川を欠き、後半中途から、あまりにも残酷なる11人対9人の 都田公開リンチが始まるのです。

もう札幌は満足に攻められません。たとえボールを奪っても、 人数が少ないので恐くて前に行けません。 で、それを見据えて本田は責めまくり。で、ちょっと競ったら すぐ笛が鳴るわけで、何度ゴール寸前のFKを受けたやら。 なんとか奇跡のように90分はこらえて、延長に入るも、 攻撃タレントは不足し、今日もペレイラが右サイドを上がる上がる! しかしセンタリングは本田にとられ、アッという間のカウンター! いくらペレイラでもヘトヘトですぐに戻れるわけはなし。 その間、平岡、朝倉あたりが瀕死の表情でボールに食らいつくが、 もう本田側に撃たれ放題のやられ放題。 シュートがたまたまワク外にいっただけのラッキーぶり。 そしてとうとう延長も後半。撃たれっぱなしの札幌、ついにつかまります。 シュートが白井に!もつれて他の選手にあたって、その後は?と思ってたら、 うわああ!白井サン、そんなに前に行っちゃダメだって! ボール取れないよ、ゴールマウスがら空き! で、最後、ゴール前の大混戦の末、 札幌DFが申し訳程度に1人突っ立ってるマウスにボールが・・・。 こうして札幌は無残な11人対9人のリンチの末、 延長後半まで試合をやらされた挙げ句、 ついになぶり殺しにされたのです。あああ・・・。

油がいたときはロペスは死に、油が消えたらイキイキのロペス。 まさに油選手で動いたゲームでした。

(記事提供:永井 謙一郎さん)


『都田サッカー場は如何にスゴい器か』

JR浜松駅を降り、30分に1本の遠州鉄道バスにゆられること40数分。 そんでバス停を降り、畑に挟まれた道を20分歩いての都田サッカー場入り。 いやあ、ある意味でスゴいスタジアムです。 練習場を試合用に転化したフシもあるこの都田、 あまりにも観客と選手の距離が近すぎ。柏サッカー場といい勝負では? で、これだけ距離が近いと何が起こるか? サポーターはそうそうやたらに声が出せなくなるってことです。

本田技研のサポーター、わりと沢山いました。ところがタイコの音も 抑え目に調節し、やたらうるさく歌いまくるわけでなし。 当然、私、東芝の西田さん、関西からのショージさんの 3人のみで編成する東芝札幌サポーターも 声出しは肝心なところのみに集中することに。 なぜ都田では控えめな応援になったのでしょうか?

答えは簡単です。「選手にサポーターの声が聞こえ過ぎるから」です。 例えば我々の守るゴールエリア近くで自軍DFがボールをなんとか奪うと サポーターはGKの真似をして「クリア-!!」と叫びがちです。 その叫びってのは「ま、選手に聞こえてないよな」と油断して、 自分だけの思い込みにより 「大きく蹴って安心させてくれや!」という思いの表れです。 でも、本当にクリアでいいのか、というと、ちょっと分かりかねます。 でも我々は「選手はまさか我々の声で判断してるワケはないよな」 という甘えがちょっとあるかもしれません。

でも都田は我々の声が全部筒抜けなのです。 無責任に「クリアー!」とか「カウンター!」とか叫んだら、 ピッチ上の選手の判断に影響がありそうな気が。 前に行くような情勢じゃないのに(特に今日のような 11人対9人の大劣勢のときみたいに) 「前に行け-!」と叫んで、本当にDFが上がっちゃって、 そのスキにカウンターが来たら、どうする?

サッカーの応援って、何なのでしょうか? 道内TV局からのしつこい取材攻勢(今日も来てましたよ。 特にSTV!「札幌から来てるヒトいます?」と聞いて 「いませんよ」と答えたら、あてが外れたように退散。何だそりゃ?) を見てるとサポーターってのは歌って騒ぐ集団という認識が まだ道内マスコミにはあるようですねえ。 応援ってのは、例えば小学校のかけっこで、足が早ければ声援を送り、 拍手をする、というのが原点だと思うのです。 試合の流れ、選手の表情を読み取り、 叫ぶとき、歌うとき、うめくとき、見守るとき、拍手するとき、 笑うとき、泣くとき、など、我々は想像力をフル回転して 雰囲気を汲み取り、サポートしなければならないのでしょうね。 競技場を劇場化して盛り上げる、ということより、 ピッチの上の選手にまず我々は何ができるか。 ということを、都田サッカー場という器は私に考えさせてくれたのです。 それでは、また。

(記事提供:永井 謙一郎さん)


気合を入れるコンサイレブン  ここまで無敗の本田技研に土をつけるべく、はるばる札幌からやってきた我らがコンサドーレイレブン。試合前の円陣にも気合いが入ります。 (写真提供:小林希和子さん)
守るペレイラ1  スライディングタックルで、本田技研の攻撃を防ぐペレイラ。 (写真提供:小林希和子さん)
ペレイラのヘッド  アルシンドからのフリーキックに頭であわせるペレイラ。見事、ゴールが決まります。 (写真提供:小林希和子さん)
守るペレイラ2  延長に入って、二人少ない中、必死のディフェンスをするペレイラ。 (写真提供:小林希和子さん)

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